積水ハウスを一言でいうと
積水ハウスは、戸建住宅、賃貸住宅「シャーメゾン」、賃貸住宅管理、リフォーム、不動産仲介、マンション、都市再開発、海外住宅まで展開する、住宅を軸にした総合住生活企業です。
一般には「注文住宅の会社」という印象が強いかもしれません。しかし、現在の積水ハウスを戸建住宅だけで見ると、会社の実態を見誤ります。戸建住宅は重要なブランドの柱ですが、利益面では賃貸・事業用建物、賃貸住宅管理、リフォーム、不動産、都市再開発、国際事業も大きな役割を持っています。
同じ住宅・建設業界でも、大和ハウス工業は住宅に加えて商業施設や物流施設、事業施設まで大きく広げた総合開発会社です。鹿島や大林組は大型建築・土木・インフラに強いゼネコンです。積水ハウスは、ゼネコンというより「住まい」を起点に、戸建住宅、賃貸住宅、管理、リフォーム、まちづくり、海外住宅へ広げた会社です。建物そのものを売るだけでなく、住み続ける時間、管理、修繕、資産価値まで含めて収益化している点が特徴です。
積水ハウスの企業研究で特に重要なのは、同社が「請負型」「ストック型」「開発型」「国際」という複数の事業モデルを持つことです。戸建住宅や賃貸住宅の建築請負で利益を出し、シャーメゾンの管理やリフォームで継続収益を積み上げ、都市再開発やマンションで開発利益を取り、米国・豪州などの海外住宅市場で成長を狙う。この組み合わせが、積水ハウスの強みであり、同時にリスクの所在でもあります。
なぜ今積水ハウスを見るのか
積水ハウスを今見る理由は、国内住宅市場が成熟する一方で、同社が高付加価値住宅、賃貸住宅管理、リフォーム、都市再開発、米国住宅へ収益源を広げているからです。
国内の住宅市場は、長期的には簡単な環境ではありません。人口減少、世帯構成の変化、住宅価格の上昇、建設コストの高止まり、人手不足、住宅ローン金利の上昇が需要に影響します。特に持家の新設住宅着工は弱含みになりやすく、単純に新築戸建を多く売れば成長できる時代ではありません。
その中で、積水ハウスは「高付加価値化」と「オーナー接点の深掘り」を進めています。戸建住宅では、ZEH「グリーンファースト ゼロ」、大空間リビング「ファミリー スイート」、感性を住まいに反映する「life knit design」、スマートホームサービス「PLATFORM HOUSE touch」などを通じて、単価とブランド価値を高めています。2025年度の戸建住宅ZEH比率は96%、賃貸住宅シャーメゾンのZEH比率は77%、非住宅建築のZEB比率は55%と、省エネ住宅・建築を前面に出している点も特徴です。
賃貸住宅では、都市部のS・Aエリア、特に駅近で利便性の高いSエリアを重視し、3・4階建てのシャーメゾンやシャーメゾンZEHを展開しています。土地オーナーに対して、単にアパートを建てるのではなく、長期にわたり入居需要が見込めるエリアで、賃料水準と入居率を意識した資産活用を提案しています。
2026年1月期の積水ハウスは、売上高4兆1,979億円、営業利益3,414億円、経常利益3,278億円、親会社株主に帰属する当期純利益2,320億円となりました。売上高と営業利益は過去最高を更新し、第6次中期経営計画を上回る結果でした。2027年1月期は売上高4兆3,530億円、営業利益3,500億円を見込んでいます。
ただし、注意点もあります。国際事業、とくに米国戸建住宅事業は、2024年に買収したM.D.C. Holdings、現在のSEKISUI HOUSE U.S.を取り込みましたが、米国の住宅ローン金利、消費者心理、販売インセンティブ、棚卸資産評価損の影響を受けています。国内は堅調でも、米国住宅市場の変動が全社利益に影響する段階に入っています。
成り立ち
積水ハウスの歴史は、1960年に積水化学工業株式会社にハウス事業部が設置されたことから始まります。同年4月には「セキスイハウスA型」を発表し、東京都千代田区の末広町駅近くに初のモデルハウスを開設しました。同年8月には、積水化学工業のハウス事業部を母体として、積水ハウス産業株式会社が設立されます。これが現在の積水ハウスです。
セキスイハウスA型は、プレハブ住宅の先駆けでした。戦後の日本では、住宅不足が大きな社会課題でした。品質の安定した住宅を、工業化によって効率的に供給するという考え方は、当時としては新しい挑戦でした。積水ハウスはこの「住宅の工業化」を原点に持っています。
1961年には滋賀県栗東町に滋賀工場を設置し、操業を開始しました。同年にはセキスイハウスB型を発売し、業界初とされるメータモジュールやアルミサッシの採用にも取り組みました。単に住宅を建てるだけでなく、住宅を工業製品として進化させる姿勢が初期から見られます。
1963年には積水ハウス株式会社に商号変更し、日本初の総合住宅展示場にも出展しました。1964年には直接販売体制を確立します。住宅展示場で顧客に実物を見せ、営業担当が直接提案するモデルは、日本の住宅メーカーの販売手法として非常に重要でした。
1969年にはセキスイハウスHA型、つまりアパートを発売しています。現在のシャーメゾンにつながる賃貸住宅事業は、早い段階から始まっていました。戸建住宅メーカーとして出発しながら、土地オーナー向けの賃貸住宅、住宅地開発、分譲、リフォーム、管理、都市再開発、海外住宅へ広がっていったのが、積水ハウスの歴史です。
事業内容
積水ハウスの事業は、請負型ビジネス、ストック型ビジネス、開発型ビジネス、国際ビジネスに分けて見ると分かりやすくなります。
請負型ビジネスには、戸建住宅事業、賃貸・事業用建物事業、建築・土木事業があります。戸建住宅事業では、鉄骨住宅、木造住宅「シャーウッド」、ZEH、分譲地と一体化した住宅提案、高級住宅提案などを行います。積水ハウスのブランドを最も直接的に示す事業です。2026年1月期の戸建住宅事業は、売上高4,789億円、営業利益480億円でした。
賃貸・事業用建物事業では、土地オーナーに対して賃貸住宅「シャーメゾン」や事業用建物を提案します。都市部のS・Aエリアを中心に、3・4階建ての賃貸住宅やシャーメゾンZEHを展開しています。2026年1月期の賃貸・事業用建物事業は、売上高5,648億円、営業利益878億円でした。戸建住宅よりも営業利益が大きく、積水ハウスの稼ぐ力の中心に近い事業です。
ストック型ビジネスには、賃貸住宅管理事業とリフォーム事業があります。賃貸住宅管理事業では、シャーメゾンの管理受託、入居者対応、リーシング、原状回復、バリューアップを行います。2026年1月期の賃貸住宅管理事業は、売上高7,126億円、営業利益689億円でした。リフォーム事業は、戸建住宅や賃貸住宅のオーナーに対して、断熱改修、省エネ・創エネ・蓄エネ設備、間取り変更、大型リノベーションなどを提案します。2026年1月期のリフォーム事業は、売上高1,879億円、営業利益279億円でした。
開発型ビジネスには、仲介・不動産事業、マンション事業、都市再開発事業があります。仲介・不動産事業では、住宅用地や販売用不動産の仕入・販売、不動産仲介を行います。マンション事業では「グランドメゾン」ブランドを展開し、東京・名古屋・大阪・福岡などの中心地に集中しています。都市再開発事業では、オフィスビル、賃貸マンション、商業施設などの開発・売却・保有運営を行います。
国際事業では、米国、オーストラリア、シンガポールなどで住宅や複合開発を展開しています。特に米国では、M.D.C. Holdings買収後にSEKISUI HOUSE U.S.として体制を整え、米国戸建住宅事業を成長の柱にしようとしています。
収益構造
積水ハウスの収益構造は、戸建住宅の請負、賃貸住宅の請負、賃貸住宅管理、リフォーム、不動産開発・売却、海外住宅販売が組み合わさっています。
2026年1月期の売上高は4兆1,979億円、営業利益は3,414億円でした。事業別に見ると、売上規模が大きいのは国際事業、賃貸住宅管理、賃貸・事業用建物、戸建住宅です。利益面では、賃貸・事業用建物、賃貸住宅管理、戸建住宅、都市再開発、不動産、国際事業が大きな役割を持ちます。
この会社の特徴は、フロー型とストック型の組み合わせです。戸建住宅や賃貸住宅の請負は、受注して建て、引き渡すことで利益を出すフロー型です。マンションや都市再開発も、物件の引渡しや売却のタイミングで利益が出やすい事業です。一方、賃貸住宅管理やリフォームは、過去に建てた住宅・賃貸住宅のオーナーや入居者との関係から継続的に収益を生みます。
積水ハウスの強さは、住宅を建てた後の接点を持っていることです。戸建オーナーにはアフターサービスやリフォームを提案できます。賃貸住宅オーナーには管理、リノベーション、バリューアップを提案できます。入居者には入退去手続き、トラブル対応、住み替えなどのサービスを提供できます。建てて終わりではなく、住み続ける期間に収益機会が残る点が重要です。
2026年1月期は、請負型ビジネスが堅調でした。戸建住宅は中高級商品の拡販や高付加価値提案が進み、賃貸・事業用建物は都市部のシャーメゾンやシャーメゾンZEHが伸びました。ストック型では賃貸住宅管理が高い稼働率と管理受託戸数の増加で伸び、リフォームも環境型リフォームや大型リノベーション提案が貢献しました。
一方で、国際事業は注意が必要です。2026年1月期の国際事業は売上高1兆2,863億円、営業利益391億円でした。売上規模は非常に大きいものの、米国戸建住宅事業で販売インセンティブ増加や棚卸資産評価損が発生し、営業利益は大きく減少しました。海外事業は成長余地が大きい反面、金利や景気の影響も受けやすい事業です。
事業内容の特徴
積水ハウスの事業の特徴は、住宅を「建てる商品」ではなく、「暮らし続ける基盤」として捉えていることです。
戸建住宅では、設計自由度、耐震性、断熱性、空間提案、ZEH、外構、インテリア、スマートホームを組み合わせます。大空間リビング「ファミリー スイート」や、顧客の感性を設計に落とし込む「life knit design」は、単に間取りを決めるだけではなく、暮らし方そのものを提案する考え方です。
賃貸住宅では、シャーメゾンというブランドが重要です。一般的なアパートではなく、入居者にとって住み心地がよく、オーナーにとって長期的に競争力がある賃貸住宅を提案します。都市部の好立地に、3・4階建ての高品質な賃貸住宅を建て、管理会社が入居率や賃料水準を維持する。ここに、積水ハウスの賃貸住宅事業の収益力があります。
ストック型ビジネスも特徴です。住宅メーカーの多くは新築販売に注目されますが、積水ハウスは過去に建てた住宅ストックを活用できます。オーナーとの長期関係があれば、リフォーム、断熱改修、設備更新、相続・売却・住み替えの相談につながります。賃貸住宅では、入居者の満足度を高め、高い稼働率を維持することがオーナーへの再提案につながります。
就活生の視点では、積水ハウスは営業、設計、施工管理、インテリア、外構、不動産、管理、リフォーム、都市開発、海外事業まで仕事が広い会社です。個人の暮らしに近い仕事もあれば、土地オーナーや法人、不動産投資家に向き合う仕事もあります。住宅を売る会社ではなく、住まいに関する長期的な顧客接点を作る会社だと考えると、仕事の幅が見えてきます。
競合他社との違い
積水ハウスの競合は、事業によって変わります。戸建住宅では大和ハウス工業、住友林業、旭化成ホームズ、ミサワホーム、パナソニック ホームズ、セキスイハイムなどが比較対象です。賃貸住宅では大和ハウス工業、大東建託、東建コーポレーション、旭化成ホームズなどが競合になります。マンションや都市再開発では、野村不動産、三井不動産、三菱地所、大和ハウス工業、東京建物なども比較対象になります。
大和ハウス工業との違いは、事業の広げ方です。大和ハウス工業は、戸建住宅に加えて商業施設、物流施設、事業施設、環境エネルギーまで非常に大きく広げた総合開発グループです。積水ハウスも都市再開発や海外事業を持ちますが、より「住まい」を中心に、戸建住宅、賃貸住宅、管理、リフォーム、マンション、海外住宅へ広げている色が強い会社です。物流施設や商業施設の大規模開発では大和ハウス工業が目立つ一方、積水ハウスはシャーメゾンやグランドメゾン、住宅オーナー接点に強みがあります。
住友林業との違いは、木造住宅と素材へのこだわりです。住友林業は木造注文住宅、木材建材、森林資源、海外住宅に強い会社です。積水ハウスは鉄骨住宅と木造住宅の両方を持ち、工業化住宅、シャーメゾン、管理、リフォーム、都市再開発を組み合わせています。
大東建託との違いは、賃貸住宅専業に近い会社か、住まい全体の総合企業かです。大東建託は土地オーナー向け賃貸住宅建築と管理で非常に強い会社です。積水ハウスも賃貸住宅と管理が強いですが、戸建住宅、マンション、リフォーム、都市再開発、海外住宅も持つため、事業の分散性が高いです。
鹿島や大林組との違いは、ゼネコンか住宅・不動産会社かという点です。鹿島や大林組は大型建築、土木、インフラ、超高層ビル、トンネル、橋梁に強い会社です。積水ハウスは、住宅と住まい関連不動産を中心に、顧客の暮らしと資産に近い領域で事業を展開しています。大型土木ではなく、住まいとまちづくりに軸足がある会社です。
事業の現代での潮流
積水ハウスを取り巻く第一の潮流は、国内住宅市場の成熟です。新築住宅着工戸数は長期的に伸びにくく、持家市場は金利、建築費、消費者心理の影響を受けます。積水ハウスはその中で、戸建住宅の高付加価値化、ZEH、デザイン提案、分譲地との一体提案、中高級商品の拡販を進めています。
第二の潮流は、賃貸住宅の質の競争です。人口減少時代には、ただ賃貸住宅を建てれば入居者が集まるわけではありません。駅近、都市部、遮音、断熱、省エネ、共用部、セキュリティ、デザイン、管理品質が重要になります。シャーメゾンは、オーナーにとって資産価値を維持しやすく、入居者にとって住みやすい賃貸住宅を目指すブランドです。
第三の潮流は、省エネ住宅と脱炭素です。建築物省エネ法の改正により、新築住宅への省エネ基準適合が義務化され、住宅メーカーには断熱性、省エネ性能、ZEH対応が求められます。積水ハウスは戸建住宅ZEH比率やシャーメゾンZEH比率を高め、住宅業界の中でも脱炭素を前面に出しています。
第四の潮流は、リフォームと既存住宅流通です。新築だけに頼るのではなく、既存住宅を長く使い、断熱改修や設備更新を行い、資産価値を維持することが重要になります。積水ハウスはオーナー接点を活かし、リフォーム、仲介、不動産、住み替えを伸ばそうとしています。
第五の潮流は、米国住宅市場です。米国は人口増加や住宅不足を背景に潜在需要がありますが、住宅ローン金利が高いと購入者の様子見姿勢が強まります。積水ハウスは米国戸建住宅事業を成長の柱にしようとしていますが、短期的には金利、インセンティブ、在庫評価、土地仕入れ、買収後統合が業績を左右します。
強み
積水ハウスの強みは、第一に戸建住宅ブランドです。鉄骨住宅と木造住宅シャーウッドの両方を持ち、耐震性、断熱性、ZEH、大空間提案、デザイン提案を組み合わせています。単に家を建てるだけでなく、顧客の暮らし方や感性に合わせた提案を行う点が特徴です。
第二の強みは、シャーメゾンです。賃貸住宅で高品質なブランドを築き、都市部のS・Aエリアを中心に長期安定経営を提案しています。シャーメゾンZEHや3・4階建て商品、賃貸住宅管理と組み合わせることで、土地オーナーと入居者の双方に価値を出しています。
第三の強みは、ストック型ビジネスです。2026年1月期の賃貸住宅管理事業は売上高7,126億円、営業利益689億円でした。リフォーム事業も売上高1,879億円、営業利益279億円です。過去に供給した住宅・賃貸住宅のストックが、管理、リフォーム、住み替え、仲介につながります。
第四の強みは、グループ再編による顧客接点の強化です。積水ハウスシャーメゾンPM各社や積水ハウス不動産株式会社など、事業専門会社を通じてオーナー、入居者、売主、買主との接点を深めています。住宅メーカーでありながら、管理会社・不動産会社としての顔を強めている点は重要です。
第五の強みは、国際事業の成長余地です。米国には良質な住宅の供給不足という潜在需要があります。M.D.C. Holdings買収後、SEKISUI HOUSE U.S.として体制を整え、日本で培った住宅技術やまちづくりの考え方を移植しようとしています。短期的には苦戦していますが、中長期では大きな成長機会になり得ます。
弱み・リスク
積水ハウスの最大のリスクは、住宅市場の金利影響です。住宅ローン金利が上がると、購入者の返済負担が増え、戸建住宅や分譲住宅の需要に影響します。国内でも金利上昇が意識され、米国では住宅ローン金利の高さが購入者心理を冷やしています。
第二のリスクは、建設コストです。建材価格、人件費、物流費、土地価格が上昇すると、住宅価格や賃貸住宅の投資採算が悪化します。価格転嫁できれば利益は守れますが、顧客の予算を超えれば受注が減ります。高付加価値化は有効ですが、すべての顧客が高価格帯に移れるわけではありません。
第三のリスクは、米国事業です。米国戸建住宅事業は成長の柱ですが、2026年1月期は販売インセンティブ増加や棚卸資産評価損により利益が大きく減少しました。M.D.C. Holdings買収後の統合、ブランド構築、土地在庫、金利、地域別市況を丁寧に見る必要があります。
第四のリスクは、開発型ビジネスの売却タイミングです。都市再開発やマンションは、物件の引渡しや売却タイミングによって利益が変動します。2026年1月期は都市再開発事業で大型物件の売却が進み利益が伸びましたが、毎期同じように売却益が出るとは限りません。
第五のリスクは、国内住宅ストック競争です。人口減少時代には、賃貸住宅の供給過剰や地域差が大きくなります。積水ハウスはS・Aエリア重視で対応していますが、立地選別を誤ると入居率や賃料水準に影響します。シャーメゾンのブランドを維持するには、管理品質とエリア選別が欠かせません。
数字で見る積水ハウス
積水ハウスを見るときは、売上高、営業利益、事業別営業利益、ストック型ビジネスの伸び、国際事業の採算、受注、管理戸数、キャッシュフロー、配当を確認する必要があります。
2026年1月期の連結売上高は4兆1,979億円、営業利益は3,414億円、経常利益は3,278億円、親会社株主に帰属する当期純利益は2,320億円でした。売上高は前期比3.4%増、営業利益は3.0%増、当期純利益は6.6%増です。
事業別では、戸建住宅事業が売上高4,789億円、営業利益480億円でした。賃貸・事業用建物事業は売上高5,648億円、営業利益878億円です。建築・土木事業は売上高3,022億円、営業利益220億円でした。
ストック型では、賃貸住宅管理事業が売上高7,126億円、営業利益689億円、リフォーム事業が売上高1,879億円、営業利益279億円でした。賃貸住宅管理は、同社の安定収益を支える重要な柱です。
開発型では、仲介・不動産事業が売上高3,945億円、営業利益309億円、マンション事業が売上高1,228億円、営業利益180億円、都市再開発事業が売上高1,646億円、営業利益459億円でした。都市再開発は物件売却が進み、大きく増益となりました。
国際事業は、売上高1兆2,863億円、営業利益391億円でした。売上規模は非常に大きいものの、営業利益は前期比で大きく減少しました。米国戸建住宅市場の金利影響と買収後統合の進捗が、今後の重要な確認点です。
2027年1月期の会社予想では、売上高4兆3,530億円、営業利益3,500億円、経常利益3,140億円、親会社株主に帰属する当期純利益2,180億円を見込んでいます。年間配当は145円の予想です。
投資家が確認したい指標は、次の通りです。
戸建住宅と賃貸・事業用建物の受注が維持できるか
シャーメゾンの管理戸数、入居率、賃料水準が伸びるか
リフォーム事業がオーナー接点から継続的に拡大するか
都市再開発やマンションの売却益に頼りすぎていないか
米国戸建住宅事業の利益率が回復するか
建設コスト上昇を価格と商品力で吸収できるか
配当性向40%以上の方針と財務健全性が両立するか
就活生の場合は、売上高だけでなく、請負型、ストック型、開発型、国際という事業モデルの違いを見ると、積水ハウスの仕事の幅が理解しやすくなります。
今後の注目ポイント
今後の積水ハウスで最も注目したいのは、米国事業の立て直しです。米国は住宅不足という長期需要がありますが、短期的には住宅ローン金利の高さ、消費者心理、販売インセンティブ、土地在庫が利益を左右します。SEKISUI HOUSE U.S.としてグループビルダーを統合し、日本で培った住宅技術やまちづくりをどこまで移植できるかが重要です。
次に、シャーメゾンの成長です。国内人口が減る中でも、都市部の駅近・好立地には賃貸需要があります。シャーメゾンZEH、3・4階建て、管理品質、入居率、賃料上昇を組み合わせられれば、土地オーナーに対して長期安定経営を提案できます。賃貸・事業用建物事業と賃貸住宅管理事業の連動が、同社の安定収益の柱です。
第三に、リフォームと既存住宅流通です。新築市場が成熟するほど、過去に建てた住宅の価値を高めるリフォームが重要になります。断熱改修、省エネ設備、間取り変更、相続・売却・住み替えまで提案できれば、オーナー接点を収益化できます。
第四に、都市再開発とマンションです。グランドメゾンやプライムメゾンなど、都心部に特化した開発は利益率が高い一方、物件売却のタイミングで業績が変動します。東京・名古屋・大阪・福岡の中心地に絞った戦略が、今後も利益を生むかが注目です。
第五に、脱炭素住宅です。戸建住宅ZEH、シャーメゾンZEH、非住宅ZEBは、住宅メーカーとしての競争力に直結します。省エネ基準の義務化が進む中で、単なる規制対応ではなく、住み心地、光熱費、資産価値まで含めて提案できるかが重要です。
投資対象として
投資対象としての積水ハウスは、国内住宅市場の成熟に向き合いながら、賃貸住宅管理、リフォーム、都市再開発、米国住宅で成長を狙う住宅メーカーです。2026年1月期は売上高4兆1,979億円、営業利益3,414億円と過去最高水準の業績を達成しました。
魅力は、事業モデルの分散です。戸建住宅だけでなく、賃貸・事業用建物、賃貸住宅管理、リフォーム、仲介・不動産、マンション、都市再開発、国際事業を持っています。特に賃貸住宅管理とリフォームは、過去に供給した住宅ストックから継続的に収益を得られる点が評価できます。
また、ブランド力も大きな魅力です。積水ハウスの戸建住宅、シャーメゾン、グランドメゾンは、住宅・賃貸・マンションの各領域で一定のブランドを持っています。住宅は高額商品であり、顧客は安心感や長期サポートを重視します。ブランドとアフターサービスは、価格競争から距離を置くために重要です。
一方で、投資家はリスクも冷静に見る必要があります。国内住宅市場は人口減少と金利上昇の影響を受けます。建設コスト上昇は利益を圧迫します。米国住宅事業は成長期待がある一方、金利と景気に大きく左右されます。都市再開発やマンションは売却タイミングによる利益変動があります。
PERやPBRを見るときは、単年度の利益だけでなく、請負型・ストック型・開発型・国際の利益構成、米国事業の採算、シャーメゾンの管理成長、リフォームの伸び、営業キャッシュフロー、配当方針を確認する必要があります。積水ハウスは、安定した住宅メーカーであると同時に、海外と不動産開発で成長を狙う会社でもあります。その二面性を理解することが投資判断には欠かせません。
就活生にとっては、住宅営業だけでなく、設計、施工管理、賃貸住宅提案、管理、リフォーム、不動産、都市開発、海外事業まで選択肢が広い会社です。人の暮らしに近い仕事をしたい人にも、土地活用や不動産ビジネスに関心がある人にも向いています。
まとめ
積水ハウスは、1960年に積水化学工業のハウス事業部を母体として設立され、セキスイハウスA型を原点に住宅の工業化を進めてきた会社です。現在では、戸建住宅、賃貸住宅シャーメゾン、賃貸住宅管理、リフォーム、不動産、マンション、都市再開発、国際事業まで展開する総合住生活企業になっています。
同社の強みは、戸建住宅ブランド、シャーメゾンの賃貸住宅提案、賃貸住宅管理とリフォームによるストック型収益、グランドメゾンや都市再開発、米国住宅への成長投資にあります。2026年1月期には売上高4兆1,979億円、営業利益3,414億円、親会社株主に帰属する当期純利益2,320億円となり、第6次中期経営計画を上回る結果となりました。
一方で、課題も明確です。国内住宅市場は成熟し、金利上昇や建設コスト高騰の影響を受けます。米国住宅事業は成長の柱である一方、短期的には販売インセンティブや棚卸資産評価損により利益が落ち込みました。都市再開発やマンションは売却タイミングによる業績変動もあります。
積水ハウスの企業研究では、「戸建住宅メーカー」という一言で終わらせず、請負型、ストック型、開発型、国際ビジネスがどう組み合わさっているかを見ることが大切です。住まいを建て、管理し、直し、住み替えを支え、まちを開発し、海外へ広げる。積水ハウスは、住宅を起点に顧客との長期接点を収益化する会社として、成熟する国内市場と成長を狙う海外市場の両方に向き合っています。