日本セラミックを一言でいうと

日本セラミックは、赤外線センサ、超音波センサ、電流センサ、ガスセンサ、ホール素子、センサモジュールを手がける鳥取発の電子部品メーカーです。

社名だけを見ると、セラミック材料そのものを大量生産する会社のように見えるかもしれません。しかし、現在の日本セラミックを理解するうえで中心になるのは、セラミック材料ではなく「センサー」です。人がいるか、障害物があるか、温度が変化しているか、電流がどれだけ流れているか、炎やガスがあるか。こうした目に見えにくい変化を電気信号として取り出し、機器を動かすための部品を作っています。

同じ電機・電子部品の会社でも、アルプスアルパインがスイッチ、アクチュエーター、車載HMIを通じて「人と機械の操作接点」を作る会社だとすれば、マブチモーターは小型モーターで「動き」を作る会社です。メイコーはプリント配線板で電子機器の「回路の土台」を支える会社です。日本セラミックは、その中で「検知」を担う会社です。人や物や電流や環境の変化を検知し、照明、空調、防犯、自動車、家電、産業機器を賢く動かすための電子部品を供給しています。

日本セラミックの企業研究で大事なのは、単に「センサーの会社」と見るだけでなく、どのセンサーがどの用途で使われ、どの市場が成長し、どの市場が在庫調整や景気の影響を受けるのかを分けて見ることです。同社の製品は、住宅・店舗の人感照明、防犯セキュリティ、自動車のバックセンサやコーナーセンサ、EVの電流検出、家電の省エネ制御、CO2計測などに使われます。電子機器の中では小さな部品ですが、製品全体の安全性、省エネ性、快適性を左右する重要な役割を持っています。

なぜ今日本セラミックを見るのか

日本セラミックを今見る理由は、センサーの需要が「便利な部品」から「省エネ、安全、電動化、見守り、制御の基盤」へ変わっているからです。

身近な例でいえば、人が近づくと点灯する照明、誰もいなくなると止まる空調、侵入者を検知する防犯機器、車の後方障害物を検知するバックセンサ、EVのバッテリーやモーターの電流を測る電流センサがあります。これらはすべて、機器が周囲の状態を知るために必要な部品です。AIやIoTが発展しても、最初に現実世界の情報を取り込むのはセンサーです。ソフトウェアが賢くなるほど、入口となるセンサーの精度と信頼性は重要になります。

特に車載分野では、電動化と安全装備の拡大が大きなテーマです。超音波センサは、バックセンサ、コーナーセンサ、自動駐車支援などで使われます。低速走行中や駐車時に、人や障害物との距離を検知するための部品です。電流センサは、xEVのインバータシステムやバッテリー充放電監視に使われ、モーター電流や電池の状態を測ります。EVやハイブリッド車では、電気の流れを正確に測ることが効率、安全、制御に直結します。

住宅・店舗向けでも、人感センサや照明制御の重要性は高まっています。人がいる場所だけ照明を点け、不要な電力を減らす。店舗や公共施設で空調や照明を自動制御する。防犯機器で侵入を検知する。こうした用途は、電力価格の上昇、人手不足、省エネ規制、防犯意識の高まりと結びついています。

一方で、センサー市場は成長テーマでありながら、需要の波もあります。2025年12月期の日本セラミックは、車載向け製品の堅調な需要、セキュリティ向け製品の販売拡大、照明・家電向け製品の在庫調整一巡が増収に寄与しました。売上高は273億円、営業利益は62億円となり、営業利益率は20%を超えました。電子部品メーカーとしては高収益ですが、照明・家電向けの在庫調整、車載需要、為替、顧客の製品サイクルによって業績は変動します。

つまり、日本セラミックは「AI時代のセンサー需要」という大きなテーマに関わりながら、実際の収益は車載、防犯、照明、家電、産業機器といった個別市場の動きに左右される会社です。

成り立ち

日本セラミックは、1975年に谷口義晴氏が鳥取市で創業した会社です。創業当初から、超音波センサの開発・販売に取り組んでいました。現在でも同社の主力製品の一つである超音波センサは、会社の原点に近い製品です。

同年には、三洋電機と共同開発したテレビ遠隔操作器具の量産も始めました。これは超音波センサを使ったリモコン関連の製品であり、創業初期から家電とセンサーの接点にいたことが分かります。当時のテレビリモコンは現在の赤外線方式とは違い、超音波を使う方式もありました。日本セラミックは、家電の操作や検知に関わる部品メーカーとして出発した会社です。

1978年には防犯・警備用の超音波センサを開発し、アメリカ市場との取引を開始しました。1979年には焦電型赤外線センサを開発しています。焦電型赤外線センサは、人の体から出る赤外線の変化を検知するもので、人感センサや防犯機器、照明制御に使われます。現在の住宅・店舗向け人感センサの基礎となる技術です。

1980年代には中国上海に合弁会社を設立し、海外生産・海外展開を進めました。1990年には大阪証券取引所市場新二部へ上場し、2000年には東京証券取引所市場第二部へ上場、その後市場第一部へ指定替えとなりました。2001年にはフィリピンに現地法人を設立し、海外生産体制を拡充しています。

1995年にはホール素子の量産を開始しました。ホール素子は磁気を検出する電子部品で、位置検出や回転検出、電流検出などに関わります。これにより、日本セラミックは赤外線、超音波、磁気、電流といった複数の検知技術を持つ会社へ広がっていきました。

この成り立ちから見ると、日本セラミックは、鳥取発の小さなセンサー開発企業が、家電、防犯、自動車、産業機器向けへ用途を広げてきた会社です。大規模な総合電機メーカーではありませんが、特定の検知技術を深く掘り、海外生産も活用しながら高収益を実現してきた企業だと言えます。

事業内容

日本セラミックの製品は、赤外線センサ、超音波センサ、電流センサ、モジュール、ガスセンサ、ホール素子に大きく分けられます。会社としては単一セグメントに近く、製品別・用途別に見ると実態が分かりやすくなります。

赤外線センサには、焦電型赤外線センサとサーモパイルがあります。焦電型赤外線センサは、人や動物の動きによって変化する赤外線を検知する部品です。防犯センサー、人感照明、空調制御、見守り機器などに使われます。サーモパイルは、赤外線を使って非接触で温度を測る部品で、温度検知や空調、医療・家電用途に使われます。

超音波センサには、密閉型と開放型があります。密閉型超音波センサは、車のバックセンサやコーナーセンサ、自動駐車支援などで使われます。音波を出し、反射して戻ってくる時間から距離を測る仕組みです。開放型超音波センサは、カーセキュリティや物体検知などに使われます。距離や有無を検知する用途で重要です。

電流センサは、車載と産業機器向けに展開されています。EVやハイブリッド車では、インバータシステムのモーター電流やバッテリーの充放電を正確に測る必要があります。産業機器でも、電力制御、モーター制御、電源装置、設備監視に電流センサが使われます。電動化と省エネが進むほど、電流を正確に測る技術の重要性は高まります。

モジュール製品には、アクティブ型赤外線センサ、ライトコントロール用人感センサモジュール、人感センサモジュール、LED電源・基板、リモコン送信機、環境センサ、炎センサ、センサライトなどがあります。センサー単体ではなく、周辺回路や電源、基板、制御機能を組み込んだ製品です。顧客にとっては、センサー素子だけを買うよりも、使いやすい形で導入できるメリットがあります。

ガスセンサでは、NDIR方式のCO2センサなどを扱います。CO2濃度の測定は、換気管理、空調、省エネ、健康管理、ビル管理で重要性が増しています。ホール素子では、InSbホール素子、GaAsホール素子、ホールICなどを展開し、磁気検出や位置検出に関わります。

収益構造

日本セラミックの収益構造は、センサー部品を複数用途へ販売することで成り立っています。主な需要先は、車載、住宅・店舗、家電・エレクトロニクス、防犯・セキュリティ、照明、産業機器です。

車載向けでは、超音波センサと電流センサが重要です。超音波センサは、駐車支援や障害物検知に使われます。電流センサは、xEVのインバータやバッテリー監視に関わります。車載向けは品質要求が高く、開発期間も長いですが、一度採用されるとモデルライフに沿って継続需要が見込めます。自動車メーカーやTier1サプライヤーに採用されるためには、IATF16949やISO26262のような品質・機能安全対応も重要になります。

住宅・店舗向けでは、焦電型赤外線センサや人感センサモジュールが使われます。照明制御、防犯、空調、見守りなどの用途です。人感センサは、省エネと快適性を両立するための部品であり、オフィス、店舗、公共施設、住宅で使われます。この市場は建築需要や設備投資、家電・照明メーカーの在庫調整に左右されます。

防犯・セキュリティ向けは、赤外線センサ、超音波センサ、ガラス破壊検知センサなどが関わります。侵入検知や警備機器は、社会の安全意識の高まりとともに需要が見込まれます。ただし、セキュリティ機器も景気や住宅・店舗投資の影響を受けるため、安定成長だけを期待するのは危険です。

日本セラミックの特徴は、売上規模が大きい会社ではない一方、営業利益率が高いことです。2025年12月期の売上高は273億円、営業利益は62億円で、営業利益率は22%台でした。これは電子部品メーカーとして高い水準です。製品の差別化、生産工程の合理化、自動化、在庫削減が利益率を支えています。

ただし、2025年12月期の当期純利益は、特別利益の影響もあり大きく増えました。そのため、純利益だけを見て成長力を判断すると誤解しやすいです。投資家は、本業の営業利益、営業利益率、製品別の需要、在庫調整、車載向けの伸びを見る必要があります。

事業内容の特徴

日本セラミックの事業の特徴は、センサー素子からセンサモジュールまでを持つことです。センサー素子は、物理現象を電気信号に変える部品です。しかし、顧客が実際に機器へ組み込むには、回路、電源、基板、筐体、制御ソフト、ノイズ対策、温度補正、品質保証が必要になります。日本セラミックは、素子だけでなくモジュールも展開することで、顧客が使いやすい形に近づけています。

赤外線センサでは、人の動きや温度変化を検知する技術が重要です。人感照明では、人がいるときだけ照明を点け、いなくなると消すことで省エネにつながります。防犯用途では、侵入者の動きを検知します。空調用途では、人の有無や温度分布を把握し、効率的な制御に使います。

超音波センサでは、距離検知が重要です。車のバックセンサやコーナーセンサでは、障害物との距離を安定して測る必要があります。雨、温度、振動、車体形状、周囲ノイズの影響を受けるため、単純に音波を出せばよいわけではありません。車載用途では耐久性、精度、量産品質が求められます。

電流センサでは、電気の流れを正確に測ることが重要です。EVでは、バッテリーからインバータ、モーターへ流れる電流を制御しなければなりません。電流の測定精度が低ければ、効率や安全性に影響します。電動化が進むほど、電流センサは車の制御システムの中で重要な部品になります。

就活生の視点では、日本セラミックは、物理現象を電気信号に変える仕事に関われる会社です。赤外線、超音波、磁気、電流、ガスといった異なる検知原理を扱うため、電気電子、物理、材料、回路設計、組み込み、生産技術、品質保証の知識が活きます。大企業のように事業が広すぎる会社ではなく、センサーを軸に専門性を深める会社です。

競合他社との違い

日本セラミックの競合は、製品ごとに変わります。赤外線センサではパナソニック インダストリー、村田製作所、海外のPIRセンサメーカー、超音波センサでは自動車向けセンサメーカーや欧米・中国の部品メーカー、電流センサでは旭化成エレクトロニクス、TDK、LEM、Allegro MicroSystems、Melexisなどが比較対象になります。

アルプスアルパインとの違いは、アルプスアルパインがスイッチ、アクチュエーター、車載HMI、通信デバイスまで幅広く扱うのに対し、日本セラミックはセンサーにより集中している点です。アルプスアルパインが「人が操作する接点」に強いなら、日本セラミックは「機器が周囲を知る入口」に強い会社です。

マブチモーターとの違いは、マブチモーターがモーターで実際の動きを作る会社であるのに対し、日本セラミックは動かす前に状況を検知する会社である点です。自動化やロボット化では、検知するセンサーと動かすモーターがセットで必要になります。日本セラミックは、そのうちセンサー側を担います。

メイコーとの違いは、メイコーがプリント配線板によって電子機器の回路基盤を支える会社であるのに対し、日本セラミックは回路に入力される現実世界の情報を取得する会社である点です。基板は電子回路の土台であり、センサーはその回路に情報を入れる入口です。

日本セラミックの独自性は、会社規模は大きくないものの、赤外線、超音波、電流、ガス、ホール素子といった複数のセンサーを持ち、車載、住宅・店舗、家電、防犯、省エネに横展開していることです。大手総合電子部品メーカーのような規模はありませんが、特定用途に深く入り込むことで高い営業利益率を出している点が特徴です。

事業の現代での潮流

日本セラミックを取り巻く第一の潮流は、自動車の安全支援と電動化です。駐車支援、障害物検知、自動駐車では超音波センサが使われます。EVやハイブリッド車では、インバータやバッテリー制御に電流センサが必要です。自動車が電子制御化するほど、車内外の状態を測る部品は増えていきます。

第二の潮流は、省エネとスマートビルです。照明や空調を人の有無に応じて制御するには、人感センサが必要です。オフィス、店舗、学校、工場、住宅で省エネが求められる中、赤外線センサやセンサモジュールは重要になります。人手不足が進むと、設備を自動で動かす仕組みも求められます。

第三の潮流は、防犯・見守り需要です。住宅、店舗、公共施設、倉庫では、防犯センサの需要があります。また、高齢化が進む中で、人の動きや温度を検知するセンサーは、見守り用途にも応用できます。プライバシーに配慮しながら異常を検知する用途では、カメラではなく赤外線や超音波センサが使われる場面もあります。

第四の潮流は、室内環境の可視化です。CO2濃度、温度、湿度、空気質を測ることで、換気や空調を制御する流れが広がっています。感染症対策、省エネ、ビル管理、教育施設、オフィス環境改善の文脈で、ガスセンサや環境センサの重要性は高まっています。

第五の潮流は、センサーとAIの組み合わせです。AIが現実世界を理解するには、センサーからのデータが必要です。カメラだけでなく、赤外線、超音波、電流、ガス、磁気など複数のセンサー情報を組み合わせることで、機器はより賢く制御できます。ただし、センサー単体の価格は下がりやすく、AIやクラウド側に付加価値を奪われる可能性もあります。日本セラミックにとっては、高品質なセンサーとモジュール化でどこまで価値を維持できるかが重要です。

強み

日本セラミックの強みは、第一に複数の検知技術を持っていることです。赤外線、超音波、電流、ガス、ホール素子は、それぞれ検知する対象が異なります。人の有無、距離、電流、温度、ガス、磁気を測る製品を持つことで、車載、住宅、家電、セキュリティ、産業機器へ用途を広げられます。

第二の強みは、車載品質への対応です。同社はIATF16949認証やISO26262を取得し、車載分野の品質・機能安全に対応しています。車載センサーは、温度、振動、湿度、寿命、安全性の要求が厳しく、簡単には参入できません。超音波センサや電流センサを車載向けに展開できることは、同社の重要な強みです。

第三の強みは、高い営業利益率です。2025年12月期の営業利益率は22%台で、電子部品メーカーとして高水準です。売上規模は大手電子部品メーカーほど大きくありませんが、収益性は高い会社です。生産工程の合理化、自動化、在庫削減、製品ミックスの改善が利益率を支えています。

第四の強みは、鳥取を中心に研究開発と製造基盤を持ちながら、中国・フィリピンなど海外拠点を活用していることです。センサー開発には技術蓄積が必要であり、量産にはコスト競争力も必要です。国内で技術を磨き、海外生産を組み合わせる体制は、部品メーカーとして重要です。

第五の強みは、資本効率と株主還元への意識です。2026年から2028年の中期経営計画では、2028年12月期にROE12%以上を目標に掲げています。自己株式取得も実施しており、PBRや資本コストを意識した経営へ動いています。高収益で財務が比較的健全な会社が、資本効率を高めようとしている点は投資家にとって注目材料です。

弱み・リスク

日本セラミックの最大のリスクは、需要先が特定市場の在庫調整や景気に左右されることです。照明・家電向け製品は、顧客の在庫調整や住宅市場の影響を受けます。2025年12月期は在庫調整が一巡して増収要因になりましたが、再び在庫調整が起これば出荷は鈍ります。

第二のリスクは、車載向けの開発競争です。超音波センサや電流センサは、今後も需要が見込まれますが、競合も多いです。ADASや駐車支援ではカメラ、レーダー、LiDARとの使い分けが進みます。超音波センサは低速・近距離検知で強みがありますが、車載センサーの組み合わせが変われば、需要構造も変化します。

第三のリスクは、価格競争です。センサーは成長市場ですが、標準品化が進むと価格競争になりやすい部品です。中国メーカーを含む海外競合が増えれば、単価下落圧力が強まります。日本セラミックは品質と用途対応で差別化する必要があります。

第四のリスクは、為替と海外生産です。海外売上や海外生産拠点を持つため、為替変動や現地人件費、地政学リスクの影響を受けます。中国・フィリピンの生産体制はコスト競争力につながる一方、サプライチェーンリスクにもなります。

第五のリスクは、特別利益を含む純利益の見方です。2025年12月期は親会社株主に帰属する当期純利益が大きく増加しましたが、特別利益の影響もありました。投資家は、純利益だけで判断せず、本業の営業利益と営業キャッシュフローを見る必要があります。高収益企業であっても、一時利益を成長力と混同しないことが大切です。

数字で見る日本セラミック

日本セラミックを見るときは、売上高、営業利益、営業利益率、車載向け需要、セキュリティ向け需要、照明・家電向けの在庫調整、自己株式取得、ROE目標を確認する必要があります。

2025年12月期の連結売上高は273億円、営業利益は62億円、経常利益は70億円、親会社株主に帰属する当期純利益は70億円でした。売上高は前期比9.1%増、営業利益は25.5%増、経常利益は20.6%増、当期純利益は68.3%増です。営業利益率は約22.8%で、電子部品メーカーとして高い収益性を示しています。

増収の背景には、車載向け製品の堅調な需要、セキュリティ向け製品の販売拡大、照明・家電向け製品の在庫調整一巡がありました。利益面では、生産工程の合理化や自動化、在庫削減が収益性改善に寄与しました。

2026年12月期の会社予想では、売上高280億円、営業利益65億円、経常利益67億円、親会社株主に帰属する当期純利益47億円が見込まれています。営業利益は増える予想ですが、経常利益と純利益は減少する見通しです。これは、2025年12月期にあった特別利益の反動や為替差損益を織り込まない前提が影響しています。したがって、2026年の注目点は、最終利益の減少ではなく、本業の営業利益が伸びるかどうかです。

また、同社は2026年から2028年の中期経営計画で、2028年12月期にROE12%以上を目標に掲げています。成長分野への投資、フィリピン新工場の製造ライン整備、資本効率を意識した経営、自己株式取得などを進めています。高い営業利益率を維持しつつ、資本効率を高められるかが重要です。

投資家が確認したい指標は、次の通りです。

営業利益率20%台を維持できるか

車載向け超音波センサと電流センサが伸びているか

セキュリティ向け、住宅・店舗向けの人感センサ需要が続くか

照明・家電向けの在庫調整が再発していないか

生産工程の自動化とフィリピン新工場が利益率に貢献するか

ROE12%以上の目標に向けて資本効率が改善しているか

自己株式取得や配当が営業キャッシュフローに見合っているか

就活生の場合は、売上規模だけでなく、なぜこの規模で高い利益率を出せているのかを見ると会社の特徴が分かります。ニッチなセンサー領域で品質と用途を磨き、高収益を実現している会社です。

今後の注目ポイント

今後の日本セラミックで最も注目したいのは、車載向け電流センサと超音波センサの成長です。EVやハイブリッド車では、電流を正確に測ることが重要です。駐車支援や安全支援では、近距離障害物検知のために超音波センサが使われます。車載向けは要求品質が高い一方、採用されれば安定需要になりやすいため、同社の成長にとって重要です。

次に、省エネ・防犯・見守り向けの赤外線センサです。人感照明、空調制御、防犯機器、見守り用途は、社会課題と結びついています。電力価格の上昇や人手不足、防犯意識の高まりは、赤外線センサや人感モジュールの需要を支える可能性があります。

第三に、CO2センサや環境センサです。換気、空調、ビル管理、室内環境の可視化は、今後も重要になります。CO2濃度の測定は、感染症対策だけでなく、省エネや快適性にも関わります。環境センサをどこまで拡大できるかは、住宅・店舗・産業用途の成長を見るうえで注目です。

第四に、生産体制の強化です。フィリピン新工場の製造ライン整備や自動化は、将来の供給力と利益率に関わります。センサーは小型部品ですが、量産品質とコスト競争力が重要です。生産効率を高めながら、車載品質を維持できるかが問われます。

第五に、資本政策です。日本セラミックは高い利益率と財務余力を持つ一方、成長投資と株主還元のバランスが重要です。ROE12%以上を目標に掲げており、自己株式取得も行っています。投資家は、還元だけでなく、研究開発、生産設備、人材投資が将来の売上拡大につながるかを見る必要があります。

投資対象として

投資対象としての日本セラミックは、売上規模は大きくないものの、センサーという成長分野で高い営業利益率を出すニッチ電子部品メーカーです。車載、住宅・店舗、照明、家電、防犯、産業機器と用途が分散しており、赤外線、超音波、電流、ガス、ホール素子と複数の検知技術を持っています。

魅力は、まず営業利益率の高さです。2025年12月期の営業利益率は22%台で、同業の電子部品メーカーの中でも高収益です。センサーは製品単価が大きくない場合もありますが、用途に深く入り込み、品質要求を満たせれば高い収益性を確保できます。

次に、車載と省エネの両方に関わる点です。EV、ADAS、駐車支援、バッテリー監視、照明制御、防犯、空調、CO2検知は、いずれも今後の社会課題に近い領域です。日本セラミックの製品は、機器が現実世界を理解するための入口として使われます。

一方で、投資家は高収益だけを見て楽観しない方がよいです。照明・家電向けは在庫調整の影響を受けます。車載向けは競争が激しく、カメラやレーダー、他方式センサーとの使い分けも変化します。センサーは標準品化すれば価格競争に巻き込まれやすい部品です。海外生産、為替、原材料費の影響もあります。

PERやPBRを見るときは、純利益より営業利益を重視した方がよいです。2025年12月期の純利益は特別利益の影響もあり大きく増えましたが、本業の実力を見るには営業利益、営業利益率、営業キャッシュフローが重要です。また、ROE12%以上の目標が、自己株式取得だけでなく、本業成長を伴って達成されるかを確認する必要があります。

就活生にとっては、日本セラミックは、規模は大手総合電機メーカーほどではないものの、センサーに専門性を持つ会社です。物理現象を検知し、電子機器や車が賢く動くための部品を作る仕事に関われます。赤外線、超音波、電流、ガス、磁気といった複数の技術を扱うため、専門性を深めたい人には向いた会社です。

まとめ

日本セラミックは、1975年に鳥取で創業し、超音波センサから始まった電子部品メーカーです。現在では、赤外線センサ、超音波センサ、電流センサ、モジュール、ガスセンサ、ホール素子を扱い、車載、住宅・店舗、家電、防犯、省エネ、産業機器へ用途を広げています。

同社の強みは、複数の検知技術、車載品質への対応、高い営業利益率、国内開発と海外生産の組み合わせ、資本効率を意識した経営にあります。2025年12月期には売上高273億円、営業利益62億円となり、営業利益率は22%台でした。2026年12月期も売上高280億円、営業利益65億円を見込んでいます。

一方で、リスクもあります。照明・家電向けの在庫調整、車載センサーの競争、価格下落、為替、海外生産、特別利益による純利益のぶれには注意が必要です。センサー需要は成長テーマですが、製品ごとの採算と用途別の需要を見なければ、本当の収益力は分かりません。

日本セラミックの企業研究では、「センサーの会社」という一般論で終わらせず、赤外線で人を検知し、超音波で距離を測り、電流センサでEVの電気の流れを測る会社として見ることが大切です。人、車、空間、電流、環境を検知する小さな部品が、照明を消し、車を安全に止め、空調を制御し、電動車の効率を高めます。日本セラミックは、その検知の入口を支えるニッチで高収益な電子部品メーカーです。