メイコーを一言でいうと
メイコーは、プリント基板の設計・製造を中心に、電子機器の開発製造受託、メカトロニクス、映像機器まで手がける電子部品メーカーです。
プリント基板とは、電子部品を載せ、電気信号や電力を流すための板です。スマートフォン、車、サーバー、通信機器、家電、産業機器の中には必ず電子回路があり、その土台になるのがプリント基板です。半導体、センサー、モーター、通信モジュール、電源部品がどれだけ高性能でも、それらをつなぐ基板がなければ製品として動きません。
同じ電機・電子部品業界でも、アルプスアルパインがスイッチやセンサー、車載HMIを通じて人と機械の接点を作る会社だとすれば、マブチモーターは小型モーターで機器に動きを与える会社です。日本セラミックは赤外線や超音波、電流センサで人や車や空間の状態を検知する会社です。それに対してメイコーは、電子部品が集まり、信号が流れ、製品全体が機能するための「回路の土台」を作る会社です。
メイコーの特徴は、車載基板、スマートフォン・タブレット向け基板、情報通信向け基板、モジュール基板、電子機器受託開発を広く持つことです。特に車載基板では大きな存在感を持ち、自動車の電動化、ADAS、自動運転、コネクテッド化によって、車に搭載される電子回路が増える流れを取り込んでいます。
投資家にとっては、AIサーバー、データセンター、車載、スマートフォン、衛星通信、SSDといった成長市場に関わる会社です。就活生にとっては、基板設計、製造技術、品質保証、生産技術、海外量産、EMS、メカトロニクスまで、電子機器のものづくりを幅広く経験できる会社です。ただし、成長企業である一方、設備投資が非常に大きく、在庫、売上債権、有利子負債、原材料価格、顧客市場の変動にも注意が必要です。
なぜ今メイコーを見るのか
メイコーを今見る理由は、電子機器の高度化によってプリント基板の重要性が高まっているからです。
生成AIの普及により、AIサーバーやデータセンター関連の需要が拡大しています。AIサーバーでは、CPU、GPU、メモリ、スイッチ、電源、通信モジュールなどが高密度に組み込まれます。高速信号を正確に流し、大電流や発熱に対応し、限られたスペースに多くの機能を詰め込むには、高多層基板、ビルドアップ基板、パッケージ基板に近い高度な基板技術が必要になります。
自動車分野でも、プリント基板の価値は上がっています。EV戦略の見直しが進む一方で、自動運転、運転支援、車載通信、車内情報機器、安全装備の需要は堅調です。車はかつての機械中心の製品から、電子制御の塊へ変わっています。エンジン制御、バッテリー制御、インバーター、ADAS、カメラ、レーダー、ディスプレイ、通信ユニットには基板が必要です。しかも車載基板は、高温、振動、湿気、長寿命、安全性への要求が厳しく、一般民生品より品質ハードルが高い分野です。
スマートフォンやタブレットでも、ハイエンドモデルでは基板の高密度化が進みます。限られた薄い筐体の中に、カメラ、通信、電源、センサー、AI処理、ディスプレイ関連部品を詰め込むためには、エニーレイヤービルドアップ基板のような高密度基板が必要になります。メイコーは、この高付加価値基板の増加を利益改善につなげています。
2026年3月期のメイコーは、売上高2,405億円、営業利益245億円、経常利益264億円、親会社株主に帰属する当期純利益197億円となり、売上高・利益ともに過去最高を更新しました。営業利益率は10.2%です。さらに2027年3月期予想では、売上高3,200億円、営業利益380億円が示されています。これは単なる横ばいの部品メーカーではなく、AIサーバー、車載、スマートフォン、衛星通信、SSD向けの需要を取り込みながら設備投資を拡大している会社だということを示しています。
ただし、急成長にはリスクもあります。2026年3月期には有形固定資産取得による支出が498億円あり、投資キャッシュフローは大きなマイナスでした。新工場や生産能力増強は成長のために必要ですが、需要が想定を下回ると固定費負担になります。メイコーを見るときは、成長市場だけでなく、投資回収と財務負担も同時に見る必要があります。
成り立ち
メイコーは、1975年に設立されたプリント基板メーカーです。現在では東証プライム上場企業として、国内外に生産拠点を持ち、車載、スマートフォン、通信、産業機器向けに基板を供給しています。
同社の成長の出発点は、プリント基板の設計・製造にあります。電子機器は、部品を集めるだけでは動きません。どの部品をどこに置き、どの信号をどの経路で流し、どこで熱を逃がし、どの層で電源やグラウンドを確保するか。これらを設計し、実際に高精度で製造する必要があります。メイコーは、この基板づくりを軸に成長してきました。
プリント基板業界は、かつては家電、通信機器、携帯電話、パソコンなどの需要に支えられていました。その後、スマートフォンの薄型化・高機能化、自動車の電子化、サーバーや通信インフラの高度化によって、基板に求められる性能は大きく変わりました。単純な片面基板や両面基板だけではなく、多層基板、ビルドアップ基板、高放熱基板、大電流基板、高周波基板が必要になっています。
メイコーは、こうした変化に合わせて事業を広げてきました。国内では山形、石巻、神奈川などに拠点を持ち、海外では中国、ベトナムなどに大規模生産拠点を展開しています。車載基板では山形メイコーが重要な役割を担い、ベトナム工場なども成長の柱になっています。
また、メイコーは基板だけでなく、電子機器事業も持っています。EMS、ODM、メカトロニクス、映像機器などです。これは、基板メーカーとしての製造ノウハウを、部品実装や電子機器の開発製造へ広げたものです。現在のメイコーは、単なる基板製造会社ではなく、電子回路を起点に、設計、製造、実装、受託開発、自動化装置まで扱う会社へ変わっています。
事業内容
メイコーの事業は、大きく回路基板事業と電子機器事業に分けられます。
中心となる回路基板事業では、プリント基板の開発・製造、高周波測定、回路設計、メタルマスク、半導体パッケージ基板などを扱います。用途は車載、スマートフォン・タブレット、情報通信、SSD、通信モジュール、産業機器、アミューズメント、スマート家電などです。
車載向け基板は、同社の重要な柱です。自動車のエンジン制御、ADAS、通信、電動化部品、車載情報機器、電源制御などに使われます。車載基板は、エンジンルームのような高温環境や振動の多い場所で使われることもあり、高耐久、高信頼性が求められます。高放熱・大電流基板は、電動化や太陽光発電装置などにも関わります。
スマートフォン・タブレット向けでは、ハイエンドモデル向け基板が重要です。薄型で小型の筐体に高密度で部品を搭載するため、エニーレイヤービルドアップ基板のような高度な製造技術が必要になります。メイコーの2026年3月期は、ハイエンドモデル向け基板の増加が業績に寄与しました。
情報通信向けでは、衛星通信向け基板が大きく増加しました。データ通信、衛星通信、通信基地局、ネットワーク機器では、高周波対応や高速信号対応が重要です。AIサーバーやデータセンター関連の拡大も、基板メーカーにとって大きな追い風です。
モジュール基板では、SSDや通信モジュール向けが好調でした。SSDはデータセンター、PC、産業機器などで使われ、記憶装置の高速化・大容量化と関係します。通信モジュールは、IoT、車載、産業機器、スマートデバイスに関わります。
電子機器事業では、EMS、ODM、メカトロニクス、映像機器を扱います。EMSは電子機器受託製造で、部品調達、実装、検査、組立、出荷までを請け負います。ODMでは、顧客の要望に応じて製品企画、設計開発、製造まで関わります。メカトロニクスでは、はんだ付けロボットやマテリアルハンドリング装置など、基板実装工程の自動化・省人化に関わる製品を展開しています。映像機器では、マルチビジョンシステムや周辺機器を手がけています。
収益構造
メイコーの収益構造は、回路基板事業が売上と利益の中心であり、電子機器事業がその周辺を補完する形です。
2026年3月期の実績では、回路基板事業の売上高は1,980億円、営業利益は212億円、営業利益率は10.7%でした。電子機器事業は売上高426億円、営業利益34億円、営業利益率8.0%です。全社では売上高2,405億円、営業利益245億円、営業利益率10.2%でした。
この数字から分かるのは、メイコーは基板メーカーとして高い売上成長を実現しつつ、営業利益率も10%台に乗せていることです。電子部品メーカーの中でも、単なる汎用品の量産ではなく、高付加価値基板の比率を高めることで利益を伸ばしている会社です。
利益を左右する第一の要因は、製品ミックスです。高付加価値のビルドアップ基板、高多層基板、高周波基板、車載向け基板が増えると、利益率は上がりやすくなります。逆に、汎用的な基板や価格競争の強い製品が増えると、利益率は下がります。2026年3月期は、付加価値の高いビルドアップ基板が大幅に増加したことが利益改善に寄与しました。
第二の要因は、工場稼働率です。プリント基板製造は設備産業です。露光、めっき、エッチング、穴あけ、積層、検査など多くの工程があり、高額な設備を使います。工場の稼働率が上がれば固定費を吸収しやすくなりますが、需要が落ち込むと利益率が下がります。メイコーは成長市場向けに大規模投資を進めており、稼働率を高く保てるかが重要です。
第三の要因は、原材料価格です。プリント基板には銅箔、樹脂、ガラスクロス、薬品、金、めっき材料などが使われます。資源価格が高騰すると原価が上がります。2026年3月期も資源価格高騰の影響を受けましたが、製品ミックス改善と工場稼働率向上、生産性改善が利益を押し上げました。
第四の要因は、設備投資と財務負担です。2026年3月期の投資活動によるキャッシュフローはマイナス554億円で、有形固定資産取得による支出が498億円ありました。2027年3月期も大きな設備投資を予定しており、成長と同時に有利子負債も増えています。投資が売上と利益につながればよいですが、需要の変化が起きると負担になります。
事業内容の特徴
メイコーの事業の特徴は、電子機器の進化に合わせて基板の難易度が上がるほど価値が出ることです。
プリント基板は、単なる板ではありません。スマートフォンでは薄く小さくする必要があります。車載では高温、振動、長寿命に耐える必要があります。AIサーバーでは高速信号と大電流、放熱に対応する必要があります。衛星通信や高周波機器では信号損失を抑える必要があります。太陽光発電やパワーエレクトロニクスでは、大電流や発熱への対応が必要です。
メイコーは、エニーレイヤービルドアップ基板、高多層基板、高放熱・大電流基板、高周波対応基板などを持ち、用途ごとの要求に応えています。電子機器が高性能化するほど、基板にも設計・製造の難易度が求められます。半導体の性能が上がるだけでは製品全体は成立せず、基板の配線、放熱、電源供給、ノイズ対策も同時に進化する必要があります。
また、メイコーは設計段階から量産を意識する点にも特徴があります。回路設計では、限られたスペースに配線を収めるだけでなく、製造しやすさ、品質安定性、量産移行のしやすさが重要です。製造ノウハウを設計段階へ反映できることは、顧客にとって大きな価値です。
電子機器事業を持つことも特徴です。基板を作るだけでなく、部品実装、組立、検査、出荷まで対応できれば、顧客は開発・製造の一部をメイコーに任せられます。EMSやODMは、単なる基板販売よりも顧客との関係を深めやすい領域です。
就活生の視点では、メイコーは電子機器の裏側にある「ものづくりの密度」を感じやすい会社です。基板設計、材料、めっき、穴あけ、積層、検査、品質保証、自動化設備、海外工場運営、顧客対応まで、多くの工程がつながっています。完成品メーカーほど表に出る会社ではありませんが、製品が動くための根幹を作っています。
競合他社との違い
メイコーの競合には、国内では日本シイエムケイ、イビデン、フジクラ、沖プリンテッドサーキット、海外では台湾・中国・韓国の大手基板メーカーが挙げられます。プリント基板業界はグローバル競争が激しく、用途によって競合企業が変わります。
イビデンは、半導体パッケージ基板や高機能基板に強い会社です。特に高性能半導体向けパッケージ基板では、AIサーバーやデータセンター需要と強く結びついています。メイコーも半導体パッケージ基板分野に進出していますが、現在の主力は車載、スマートフォン、情報通信、モジュール基板を含む幅広いプリント基板です。イビデンが半導体パッケージ色を強めているのに対し、メイコーは車載基板と多用途基板で広がっている点に違いがあります。
日本シイエムケイは車載プリント基板に強い会社です。車載基板という点ではメイコーと重なります。メイコーは車載に加えて、スマートフォン・タブレット、情報通信、衛星通信、SSD、通信モジュール、電子機器事業を持ち、製品・用途の幅が広いことが特徴です。
アルプスアルパインとの違いは、アルプスアルパインがスイッチ、センサー、車載HMIなどの完成機器に近い部品を扱うのに対し、メイコーはそれらの部品を接続する基板を作る会社である点です。マブチモーターがモーターで動きを作る会社、日本セラミックがセンサーで状態を検知する会社だとすれば、メイコーはそれらを制御回路につなげる土台を作ります。
海外競合では、台湾のUnimicron、Compeq、Tripod、韓国・中国の基板メーカー、米国TTM Technologiesなどが比較対象になります。海外大手は規模が大きく、半導体、スマートフォン、通信、車載向けで激しく競争しています。メイコーは、品質、車載対応、顧客密着、国内外生産体制、高付加価値基板への投資で競争していく必要があります。
メイコーの独自性は、車載基板での強いポジション、スマートフォン高密度基板、情報通信・衛星通信・SSD向けの成長、EMS・ODMまで含む電子機器事業、そして積極的な設備投資にあります。競合比較では、基板の種類だけでなく、どの市場へ投資しているかを見ることが重要です。
事業の現代での潮流
メイコーを取り巻く第一の潮流は、AIサーバーとデータセンターです。生成AIの普及により、GPU、CPU、メモリ、通信スイッチ、電源、SSDが大量に使われるサーバー需要が拡大しています。これらを接続する基板には、高速信号、大電流、放熱、高多層化が求められます。メイコーは中期経営計画でAIサーバー関連を成長領域として位置づけています。
第二の潮流は、自動車の電子化です。自動車メーカー各社がEV戦略を見直しても、ADASや運転支援、車載通信、安全装備、車内情報機器の需要は続いています。車載基板は、エンジン車、ハイブリッド車、EVのいずれでも必要です。特に自動運転・運転支援が進むほど、カメラ、レーダー、ECU、通信ユニット、表示装置の基板需要が増えます。
第三の潮流は、スマートフォンの高機能化です。スマートフォン市場は成熟していますが、ハイエンドモデルではカメラ、通信、AI処理、バッテリー管理、薄型化の要求が高まっています。数量が大きく伸びなくても、高付加価値基板が増えれば売上と利益に貢献します。メイコーのスマートフォン・タブレット向け基板が堅調だった背景には、この高付加価値化があります。
第四の潮流は、衛星通信と通信モジュールです。低軌道衛星通信、IoT、車載通信、産業通信の広がりにより、高周波対応基板や通信モジュール基板の需要が増えています。情報通信向け基板の中でも、衛星通信向けが大きく増加した点は、メイコーの新しい成長領域として注目されます。
第五の潮流は、生産能力の大型投資です。プリント基板市場では、AIサーバー、車載、パッケージ基板向けに大きな投資が進んでいます。メイコーも2026年度以降、大規模な設備投資を継続する計画です。成長市場を取り込むには必要ですが、設備産業である以上、投資タイミングを誤ると利益と財務を圧迫します。
強み
メイコーの強みは、第一に車載基板での実績です。車載基板は、民生品よりも品質要求が高く、長期供給と信頼性が問われます。メイコーはこの領域で高い存在感を持ち、新規顧客向けの販売も増やしています。自動車の電子化が続く限り、車載基板は同社の重要な柱です。
第二の強みは、高付加価値基板への対応力です。エニーレイヤービルドアップ基板、高多層基板、高放熱・大電流基板、高周波基板など、用途に応じた基板を持っています。特に2026年3月期は、付加価値の高いビルドアップ基板の増加が利益改善に寄与しました。
第三の強みは、国内外の量産体制です。日本、中国、ベトナムなどに生産拠点を持ち、顧客のグローバル需要に対応できます。プリント基板は顧客の生産地やサプライチェーンと密接に関わるため、複数地域で量産できることは重要です。
第四の強みは、電子機器事業との組み合わせです。基板だけでなく、EMS、ODM、メカトロニクス、映像機器を持つことで、顧客に対して基板製造以上の価値を提供できます。電子機器の企画、設計、実装、組立まで関われることは、単なる部材メーカーとの差別化になります。
第五の強みは、成長投資を実行する姿勢です。中期経営計画では、2028年度に売上高4,600億円、営業利益650億円、営業利益率14%を目指しています。設備投資、研究開発費、AIサーバー向け基板、パッケージ基板、車載向け基板へ積極的に資源を配分しています。リスクはありますが、成長市場に正面から投資している点は大きな特徴です。
弱み・リスク
メイコーの最大のリスクは、設備投資負担です。2026年3月期には有形固定資産取得による支出が498億円あり、投資活動によるキャッシュフローは大きくマイナスでした。中期計画でも毎年大きな投資を続ける予定です。需要が計画通り伸びれば利益拡大につながりますが、AIサーバーや車載、スマートフォンの需要が鈍れば、減価償却費と固定費が重くなります。
第二のリスクは、有利子負債の増加です。成長投資を進めるため、長期借入金が増えています。2026年3月期末の自己資本比率は40.6%で、前年より低下しました。中期計画でも有利子負債残高は増える見通しです。成長投資と財務健全性のバランスを見る必要があります。
第三のリスクは、顧客市場の変動です。スマートフォン、車載、AIサーバー、衛星通信、SSDはいずれも成長テーマですが、需要の波があります。スマートフォンはモデルサイクルと在庫調整、車載は自動車生産と顧客の開発計画、AIサーバーはデータセンター投資、衛星通信は特定顧客の投資計画に左右されます。
第四のリスクは、原材料価格です。銅箔、樹脂、ガラスクロス、薬品、金めっき、エネルギー価格が上がると、原価を押し上げます。高付加価値品で吸収できればよいですが、価格転嫁が遅れると利益率が下がります。
第五のリスクは、技術競争です。プリント基板は、より高多層、微細配線、高周波、高放熱、高信頼性へ進化しています。競合も設備投資を進めており、技術の陳腐化や歩留まり悪化が起きれば、利益に影響します。特にパッケージ基板やAIサーバー向けの高難度基板では、量産立ち上げの成否が重要です。
数字で見るメイコー
メイコーを見るときは、売上高、営業利益率、回路基板と電子機器の構成、設備投資、営業キャッシュフロー、有利子負債、配当方針を確認する必要があります。
2026年3月期の連結売上高は2,405億円、営業利益は245億円、経常利益は264億円、親会社株主に帰属する当期純利益は197億円でした。売上高は前期比16.3%増、営業利益は28.8%増、経常利益は41.2%増、当期純利益は32.5%増です。営業利益率は10.2%でした。
事業別では、回路基板事業が売上高1,980億円、営業利益212億円、営業利益率10.7%です。電子機器事業は売上高426億円、営業利益34億円、営業利益率8.0%でした。回路基板が中心ですが、電子機器事業も受託開発案件を中心に堅調に推移しています。
2027年3月期の会社予想では、売上高3,200億円、営業利益380億円、経常利益350億円、親会社株主に帰属する当期純利益270億円が見込まれています。営業利益率は11.9%の計画です。事業別では、回路基板が売上高2,540億円、営業利益334億円、電子機器が売上高660億円、営業利益46億円を見込んでいます。
中期経営計画では、2028年度に売上高4,600億円、営業利益650億円、営業利益率14%を目指しています。2025年度実績の売上高2,406億円から、2028年度には約1.9倍へ伸ばす計画です。AIサーバー、パッケージ基板、車載、衛星、スマートフォン、電子機器事業を成長の柱にしています。
一方で、財務面では投資負担も大きくなっています。2026年3月期の営業キャッシュフローは275億円でしたが、投資キャッシュフローはマイナス554億円でした。設備投資のために財務キャッシュフローはプラス300億円となり、借入によって成長投資を支えている構図です。
投資家が確認したい指標は、次の通りです。
回路基板事業の営業利益率が10%台から13%台へ改善するか
AIサーバー、衛星通信、SSD、通信モジュール向け売上が伸びているか
車載向け基板の新規顧客販売が継続しているか
ビルドアップ基板や高多層基板など高付加価値品比率が高まっているか
新工場・設備投資の稼働率と歩留まりが計画通りか
営業キャッシュフローが設備投資と借入返済を支えられるか
自己資本比率やD/Eレシオが過度に悪化していないか
配当性向15%前後の還元方針が成長投資と両立しているか
就活生の場合は、売上高の伸びだけでなく、なぜ基板メーカーがここまで大きな投資をしているのかを見ると、メイコーの事業環境が理解しやすくなります。
今後の注目ポイント
今後のメイコーで最も注目したいのは、AIサーバー向け基板の拡大です。生成AI需要が続けば、高多層基板、ビルドアップ基板、パッケージ基板、高速通信対応基板の需要が増えます。メイコーがこの分野でどこまで量産実績を積み、高い利益率を出せるかが重要です。
次に、車載基板の成長です。EV戦略が一部見直されても、自動運転、運転支援、車載通信、安全装備、快適装備の電子化は続きます。車載基板は長期的な需要が期待される一方、品質要求が厳しく、新規顧客への採用拡大が重要です。
第三に、スマートフォン・タブレット向け高付加価値基板です。スマートフォン市場は成熟していますが、ハイエンドモデル向け基板では高密度化が続きます。数量成長よりも、高付加価値品の採用が利益に効く領域です。
第四に、衛星通信と通信モジュールです。2026年3月期には情報通信向け基板で衛星通信向けが大きく増加しました。低軌道衛星通信、IoT、車載通信、産業通信の拡大が続くなら、メイコーにとって新しい成長分野になります。
第五に、設備投資の回収です。新工場や増設投資は、成長のために必要ですが、投資額が大きいため失敗したときの影響も大きくなります。投資家は、新工場の立ち上げ、稼働率、歩留まり、減価償却費、有利子負債の増加を確認する必要があります。
投資対象として
投資対象としてのメイコーは、AIサーバー、車載、スマートフォン、衛星通信、SSD向けに成長するプリント基板メーカーです。2026年3月期には売上高・利益ともに過去最高を更新し、2027年3月期も大幅な増収増益を見込んでいます。高付加価値基板の比率が上がれば、営業利益率の改善も期待できます。
魅力は、成長市場への関与です。AIサーバー、データセンター、車載電子化、衛星通信、SSDは、今後も電子回路基板の需要を押し上げる可能性があります。半導体そのものではありませんが、半導体や電子部品が実際に機能するための基板を供給する会社として、メイコーは重要な位置にいます。
また、車載基板での実績と、スマートフォン向け高密度基板、情報通信向け基板、電子機器事業を併せ持つ点も魅力です。特定の一市場だけに依存しすぎず、複数の成長テーマを取り込める可能性があります。
一方で、投資家はリスクも冷静に見る必要があります。メイコーは大規模な設備投資を進めており、有利子負債も増えています。AIサーバーや車載、スマートフォンの需要が想定通り伸びなければ、固定費と減価償却費が重くなります。プリント基板は競争が激しく、海外大手との価格・技術競争もあります。
PERやPBRを見るときは、単純な成長率だけではなく、投資回収の確実性を見るべきです。売上高が伸びていても、棚卸資産や売上債権が増え、営業キャッシュフローが投資に追いつかなければ財務負担が増えます。メイコーの場合、営業利益率、設備投資、稼働率、D/Eレシオ、営業キャッシュフローを組み合わせて見ることが重要です。
就活生にとっては、成長投資の真っただ中にある電子部品メーカーです。基板設計、製造技術、品質保証、生産技術、海外工場、EMS、メカトロニクス、映像機器まで仕事の幅があります。AIサーバーや車載電子化のような最先端市場に関わりたい人にとって、製品の裏側から社会を支える仕事ができる会社です。
まとめ
メイコーは、プリント基板の設計・製造を中心に、電子機器受託開発、EMS、メカトロニクス、映像機器まで展開する電子部品メーカーです。車載基板、スマートフォン・タブレット向け高密度基板、情報通信向け基板、SSD・通信モジュール向け基板を持ち、電子機器の進化を裏側から支えています。
同社の強みは、車載基板での存在感、高付加価値ビルドアップ基板への対応、国内外の量産体制、電子機器事業との組み合わせ、成長市場へ積極投資する姿勢にあります。2026年3月期には売上高2,405億円、営業利益245億円となり、売上高・利益ともに過去最高を更新しました。2027年3月期は売上高3,200億円、営業利益380億円を見込んでいます。
一方で、リスクも明確です。設備投資負担、有利子負債の増加、原材料価格、AIサーバーや車載・スマートフォン需要の変動、海外大手との競争、量産立ち上げの歩留まりリスクがあります。成長投資が成功すれば大きく伸びる一方、需要が計画を下回れば固定費負担が重くなります。
メイコーの企業研究では、「プリント基板の会社」という一般的な理解で終わらせず、どの基板がどの成長市場に使われ、どの製品ミックスが利益を押し上げ、どの投資が将来の売上につながるのかを見ることが大切です。半導体やセンサーやモーターのように表に出る部品ではありませんが、すべての電子機器は基板の上で動いています。その回路の土台を作る会社として、メイコーはAIサーバー、車載電子化、通信高度化の時代に重要な位置にいる企業です。