MARUWAを一言でいうと
MARUWAを一言で表すなら、「セラミック材料と焼成・加工技術を武器に、通信、半導体、車載、産業機器、照明向けの高付加価値部品を供給する高収益電子部品メーカー」です。
MARUWAは、半導体製造装置そのものを作る会社ではありません。レーザーテックのような検査装置メーカーでも、東京応化工業のようなフォトレジストメーカーでも、SUMCOのようなシリコンウェーハメーカーでもありません。MARUWAの主戦場は、セラミック基板、メタライズ基板、窒化アルミニウム基板、窒化ケイ素基板、SiC部材、石英ガラス部材、高周波部品、EMC対策部品、LED照明です。
セラミックは、陶磁器のような身近な素材としても知られますが、電子部品の世界ではまったく違う顔を持ちます。熱に強い、電気を絶縁する、硬い、化学的に安定している、熱をよく逃がす、周波数特性を調整できる。こうした特性を活かして、半導体製造装置、パワーモジュール、通信機器、EV、医療機器、LED照明などに使われます。
MARUWAの強さは、汎用品の大量販売ではなく、用途に合わせたセラミック材料と加工技術にあります。たとえば、パワー半導体では熱を逃がしながら絶縁する基板が重要になります。高速通信では高周波特性に優れた部品が必要になります。半導体製造装置では、熱、薬品、プラズマ、真空環境に耐える石英やSiC、アルミナなどの部材が求められます。
MARUWA 株価 分析では、「セラミック部品メーカー」という一言だけでは足りません。情報通信、車載、半導体、産業機器、照明のどの市場が伸びているのか。次世代高速通信関連の次期モデル、汎用メモリ回復、パワーモジュール、医療関連、LED化の需要がどのように業績へ効くのか。さらに、営業利益率30%台という高収益性を維持できるのかを分けて見る必要があります。
なぜ今MARUWAを見るのか
今、MARUWAを見る理由は、電子機器の高性能化によって「熱を逃がす」「高周波に耐える」「厳しい環境で安定する」部品の価値が高まっているからです。
第一に、情報通信です。スマートフォン、基地局、通信インフラ、光通信、データセンター周辺では、高周波化・高速化が進んでいます。周波数が上がるほど、材料の誘電特性、損失、熱、寸法精度が重要になります。MARUWAは、誘電体セラミック、高周波部品、セラミック基板、電子部品を通じて、この市場に関わります。2026年3月期の決算説明資料でも、次世代高速通信関連が高水準に推移し、業績に大きく寄与しました。
第二に、半導体です。半導体そのものの需要だけでなく、半導体製造装置に使われる部材の需要も重要です。半導体製造装置内では、石英ガラス、SiC、アルミナ、窒化アルミニウムなどのセラミック部材が使われます。プラズマや薬品、熱、真空にさらされる部材では、材料特性と加工精度が歩留まりや装置稼働率に関係します。MARUWAは、半導体製造装置関連のセラミック・石英・SiC部材を持つ会社として見る必要があります。
第三に、車載です。EVやハイブリッド車では、パワーモジュール、インバータ、車載充電器、DC-DCコンバータなどが重要になります。これらは大電流・高電圧を扱い、発熱も大きいため、絶縁性と放熱性を両立するセラミック基板が必要になります。MARUWAは、窒化アルミニウムや窒化ケイ素などの高放熱セラミック材料を通じて、車載電装・パワー半導体領域に関わります。
第四に、LED照明です。MARUWAは電子部品だけでなく、照明機器事業も持っています。MARUWA SHOMEIやYAMAGIWAを通じて、公共照明、オフィス照明、ハイエンド照明、景観照明などを展開しています。2030年に向けたLED化需要、オフィス改修、高級マンション向け照明が業績を支えています。
第五に、高収益性です。2026年3月期は売上高744億76百万円、営業利益249億76百万円で、売上高営業利益率は33.5%でした。製造業で営業利益率30%台を維持するのは簡単ではありません。MARUWAの投資魅力は、単に成長市場にいることではなく、ニッチな高付加価値部品で高い利益率を出していることにあります。
成り立ち
MARUWAのルーツは、江戸時代から続く陶芸家の家系にあります。大正時代には和食器の製造を始め、戦後すぐの1946年には、愛知県瀬戸市で陶磁器の製造販売を目的として丸和合資会社が設立されました。輸出向け食器を生産していた会社が、現在の電子部品メーカーMARUWAの原点です。
転機は1960年です。高度成長期に入り、通信機器向け特殊磁器や固定抵抗器用セラミックなど、電子部品分野へ進出しました。食器の陶磁器から、電子部品用セラミックへ。ここでMARUWAは、単なる陶磁器メーカーではなく、工業用セラミックメーカーへの道を歩み始めます。
1973年には株式会社丸和セラミックを設立し、1974年にはチップ抵抗器用セラミック基板の生産を開始しました。1980年代にはスライダーセラミック、水栓用セラミックバルブなど粉末成形技術を活かした機構部品を展開し、1989年には誘電体セラミックの生産を開始して高周波部品分野へ進出しました。
1999年には積層セラミックコンデンサをはじめとするEMC対策部品の生産を開始し、商号を株式会社MARUWAへ変更しました。2003年には半導体製造関連に用いられる石英ガラス事業を開始し、2005年にはLED照明事業へ進出しました。2012年には照明メーカーのヤマギワを子会社化し、照明空間設計・販売の領域も取り込んでいます。
この歴史を見ると、MARUWAは最初から半導体関連企業だったわけではありません。陶磁器から電子部品用セラミックへ、高周波部品へ、EMC対策部品へ、半導体製造装置向け石英ガラスへ、LED照明へと、セラミックと光・電子の周辺に事業を広げてきた会社です。この「素材の強みを、成長用途へ移し替えてきた歴史」が、MARUWAの固有性です。
事業内容
MARUWAの事業は、大きくセラミック部品事業と照明機器事業に分かれます。売上と利益の中心はセラミック部品事業です。
セラミック部品事業では、セラミック基板、セラミックフィラー、セラミック気密端子、メタライズ基板、積層セラミック基板、超高純度SiC部材、誘電体セラミック、マグネット、セラミック応用部品、窒化アルミニウム部品などを扱います。材料としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、石英ガラス、誘電体、磁性体などがあります。
用途で見ると、車載電装、パワー半導体、モバイル、高周波、5G、デジタル機器、半導体製造装置、医療、パワーエレクトロニクス、ロボットなどに広がります。つまり、MARUWAの製品は最終製品として消費者に見えるものではなく、電源、通信、半導体装置、照明、産業機器の内部に組み込まれる部品です。
半導体関連では、半導体製造装置向けの石英ガラス、SiC部材、アルミナ部材、窒化アルミニウム部材などが重要です。装置内部で高温、プラズマ、薬品、真空にさらされる部品には、材料の純度、耐熱性、耐薬品性、寸法精度が求められます。装置メーカーや半導体メーカーにとって、こうした部材は装置稼働率や歩留まりにも関係します。
車載・パワー半導体関連では、高放熱基板が重要です。EVやハイブリッド車では、パワーモジュールが高出力化し、発熱も大きくなります。窒化アルミニウムや窒化ケイ素のようなセラミック材料は、絶縁性と熱伝導性を両立できるため、パワーモジュール基板に使われます。
照明機器事業では、LED照明器具、LEDモジュール、公共照明、オフィス照明、ハイエンド照明、景観照明などを扱います。単なる量販照明ではなく、公共案件、オフィス改修、高級マンション、空間設計に関わる照明が重要です。セラミック部品事業と比べると規模は小さいですが、2026年3月期は大きく利益を伸ばしました。
収益構造
MARUWAの収益構造は、セラミック部品事業の高利益率と、照明機器事業の改善で成り立っています。
2026年3月期のセラミック部品事業は、売上高637億97百万円、セグメント利益245億73百万円でした。売上高の大部分を占める主力事業です。ただし、前期比では売上高は2.1%増だった一方、セグメント利益は9.3%減でした。車載関連で市況が弱含み、半導体関連で汎用メモリ向け回復に期ずれがあり、一部新製品の立ち上げ時に歩留まり低下もありました。
それでも、セラミック部品事業の利益率は非常に高い水準です。これは、MARUWAが汎用品の価格競争ではなく、材料特性や加工精度が求められる高付加価値領域に強いことを示しています。高放熱、絶縁、高周波、耐薬品、耐熱、真空・プラズマ対応など、顧客が簡単に代替できない部品を供給できることが利益率につながります。
照明機器事業は、2026年3月期に売上高106億79百万円、セグメント利益21億41百万円でした。前期比で売上高は14.1%増、セグメント利益は49.0%増です。2030年100%LED化の政府目標に向けたLED需要、オフィス改修需要、高付加価値のオフィス向け照明、公共LED導入案件、高級新築マンション向けハイエンド照明が好調に推移しました。
全社では、2026年3月期の売上高は744億76百万円、営業利益は249億76百万円でした。売上高営業利益率は33.5%です。2025年3月期の37.5%から低下していますが、製造業としては依然として非常に高い水準です。第4四半期には、次世代高速通信関連の次期モデル立ち上げにより、売上・利益ともに四半期で過去最高となりました。
2027年3月期の会社予想では、売上高841億円、営業利益297億円を見込んでいます。情報通信関連、半導体関連、照明機器関連が成長ドライバーです。MARUWAは、売上高1,000億円を目指す中期計画に向け、生産体制を強化しています。
事業内容の特徴
MARUWAの特徴は、セラミック材料の選択肢が広く、用途ごとに高付加価値部品を作れることです。
セラミックといっても、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、石英ガラス、誘電体、磁性体では特性が異なります。アルミナは絶縁性や耐熱性に優れ、窒化アルミニウムは熱伝導率が高く、窒化ケイ素は強度や熱衝撃性に優れ、SiCは耐熱・耐薬品・高純度用途で重要です。MARUWAは、これらの材料を用途ごとに使い分けます。
もう一つの特徴は、材料だけでなく加工・メタライズ・積層・組立まで含めて価値を出すことです。セラミック基板は、単なる板ではありません。金属回路を形成したり、多層化したり、穴あけや切削をしたり、精密寸法に加工したりする必要があります。パワー半導体や高周波部品では、基板の材料特性だけでなく、金属との接合、熱膨張、信頼性が重要です。
さらに、MARUWAは市場を絞りながら、成長分野へ工場投資を行う会社です。2026年3月期は過去最大の設備投資を実施し、瀬戸工場、土岐工場、三春工場などで新棟・増産投資を進めています。次世代高速通信向け、車載向け、半導体製造装置向けなど、市場ごとに生産能力を強化しています。
この会社は、いわゆる電子部品の総合メーカーではありません。村田製作所のようにコンデンサや通信モジュールを大規模に展開する会社でも、TDKのように磁性材料やセンサを幅広く持つ会社でもありません。MARUWAは、セラミック材料と高付加価値部品に絞り、ニッチで高利益率を狙う会社です。ここが固有性です。
競合他社との違い
MARUWAを競合と比較すると、電子部品大手というより、高機能セラミック部品に強いニッチメーカーであることが分かります。
村田製作所は、積層セラミックコンデンサ、通信モジュール、センサなどを大規模に展開する電子部品大手です。量産力、顧客基盤、研究開発、グローバル供給体制で非常に強い会社です。一方、MARUWAは村田製作所ほどの総合電子部品メーカーではなく、セラミック基板、半導体製造装置向け部材、高周波・高放熱・特殊用途に寄った会社です。
京セラは、ファインセラミックス、電子部品、半導体関連部品、通信機器、工具などを持つ総合セラミック企業です。セラミックという意味ではかなり近い比較対象です。ただし、京セラは事業が非常に広く、スマートフォン部品、工具、ドキュメントソリューションなども含みます。MARUWAは、事業規模は小さい一方で、セラミック部品と照明に絞られ、利益率の高さが目立ちます。
日本特殊陶業、日本ガイシ、日本ファインセラミックス、ニッカトーなども、セラミック材料・部品で比較対象になります。ただし、MARUWAは電子部品・通信・半導体製造装置・車載・照明の組み合わせが特徴です。単に耐火物や構造用セラミックではなく、電子・半導体・通信寄りです。
アルプスアルパインやマブチモーター、日本セラミックは、関連会社として比較されることがありますが、事業の中身はかなり違います。アルプスアルパインは車載・民生向け電子部品や入力デバイス、マブチモーターは小型モーター、日本セラミックは赤外線センサや超音波センサなどが中心です。MARUWAは、センサやモーターではなく、セラミック基板・高周波部品・半導体装置部材・照明に強い会社です。
半導体関連で見ると、SUMCOや東京応化工業、レーザーテックとも違います。SUMCOはシリコンウェーハ、東京応化工業はフォトレジスト、レーザーテックはEUV検査装置です。MARUWAは、半導体製造装置やパワーモジュールの中で使われるセラミック部材です。サプライチェーンの中では、材料・部材側の会社として位置づけるべきです。
事業の現代での潮流
MARUWAを取り巻く潮流は、大きく五つあります。
第一に、次世代高速通信です。5G、6G、衛星通信、光通信、データセンター周辺機器では、高周波対応や低損失材料が必要になります。MARUWAの誘電体セラミック、高周波部品、セラミック基板は、こうした通信機器の高性能化に関わります。2027年3月期の見通しでも、情報通信関連は前年比23%成長が見込まれています。
第二に、半導体製造装置部材です。生成AIやメモリ投資が回復すれば、半導体製造装置の稼働・増産に関連するセラミック部材の需要が増えます。MARUWAは、汎用メモリ関連の需要が下期より本格的に拡大する見通しとしており、三春工場新棟で生産体制を強化する方針です。
第三に、車載・パワー半導体です。新エネルギー車市場の成長には減速感があるものの、パワーモジュールや車載電装品では、差別化製品でシェア拡大を狙っています。EV市場が一時的に鈍化しても、ハイブリッド、電動化、車載電装の流れは続きます。高放熱セラミック基板の重要性は残ります。
第四に、LED照明の更新需要です。政府目標として2030年に向けたLED化が進む中、公共照明、道路照明、景観照明、オフィス照明、高級マンション向け照明の需要があります。MARUWAの照明事業は、単なる低価格LEDではなく、公共・ハイエンド・空間設計に強みを出すことで利益を確保しています。
第五に、設備投資と増産体制です。需要が強い分野では、生産能力が成長の制約になります。MARUWAは、2026年3月期に過去最大の設備投資を実施し、瀬戸工場、土岐工場、三春工場で新棟・増産対応を進めています。投資が将来売上につながるか、稼働率と歩留まりを確保できるかが重要です。
強み
MARUWAの最大の強みは、セラミック材料技術と高利益率です。
セラミックは、焼けばよいだけの材料ではありません。原料粉末の選定、成形、焼成、収縮制御、研削、穴あけ、メタライズ、積層、品質管理まで、工程ごとのノウハウが必要です。高放熱、高周波、耐熱、耐薬品、真空・プラズマ対応など、用途ごとに求められる特性が違います。MARUWAは、この技術を電子部品や半導体装置部材へ展開しています。
二つ目の強みは、ニッチで高付加価値の市場を選ぶ力です。大量生産の汎用品で価格競争をするのではなく、次世代高速通信、半導体製造装置、パワー半導体、医療関連、ハイエンド照明など、付加価値を取りやすい領域を狙っています。これが営業利益率30%台という数字につながっています。
三つ目の強みは、財務の強さです。2026年3月期末の自己資本比率は90.5%、現金及び現金同等物は669億86百万円です。大規模な設備投資を行いながらも、財務の安全性は非常に高い水準です。これは、景気変動の大きい電子部品・半導体関連で大きな強みです。
四つ目の強みは、成長投資を続けられることです。2026年3月期は過去最大の設備投資を実施し、瀬戸工場、土岐工場、三春工場などで生産能力を増強しています。需要が強い市場に対して、自社資金で先行投資できる体力があります。
五つ目の強みは、照明機器事業を持つことです。セラミック部品が主力ですが、照明機器事業も2026年3月期に大きく利益を伸ばしました。MARUWA SHOMEIやYAMAGIWAを通じて、公共照明、オフィス、高級住宅、空間設計へ関われる点は、電子部品専業とは違う特徴です。
弱み・リスク
一方で、MARUWAには明確なリスクもあります。
第一に、需要先の偏りです。セラミック部品事業は、情報通信、半導体、車載の需要に左右されます。2026年3月期も、車載関連で市況が弱含み、半導体関連で汎用メモリ向け回復に期ずれがありました。複数市場に分散しているとはいえ、電子部品・半導体サイクルの影響は受けます。
第二に、立ち上げ時の歩留まりリスクです。決算短信では、一部新製品の立ち上げ時に歩留まり低下が発生したことが示されています。高付加価値セラミック部品は、材料、焼成、加工、寸法、金属接合などが複雑です。新製品や新工場の立ち上げでは、歩留まりが利益率を大きく左右します。
第三に、設備投資リスクです。MARUWAは需要拡大に対応するため大規模投資を行っています。瀬戸、土岐、三春などの新棟が予定通り稼働し、需要を取り込めれば成長につながります。しかし、需要が弱まれば固定費や減価償却が重くなります。
第四に、車載市場の減速です。新エネルギー車市場には減速感があり、EV関連部品は短期的に調整を受けることがあります。MARUWAは差別化製品でシェア拡大を狙っていますが、市場全体が弱ければ成長率は鈍ります。
第五に、原材料・エネルギーコストです。セラミック部品は、原料粉末、焼成、加工、電力、ガス、炉、研磨材などのコストが関わります。エネルギー価格や原材料価格が上がれば、利益率に影響します。高付加価値品で価格転嫁できるかが重要です。
第六に、高収益ゆえの期待値リスクです。MARUWAは営業利益率が高く、財務も強い優良企業として評価されやすい会社です。そのため、株価には高い成長期待が織り込まれることがあります。半導体や通信向け需要が一時的に鈍化したり、歩留まり問題が出たりすると、株価は大きく反応する可能性があります。
数字で見るMARUWA
数字で見ると、MARUWAは売上成長よりも利益率の高さが際立つ会社です。
2026年3月期の連結売上高は744億76百万円、営業利益は249億76百万円、経常利益は263億21百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は181億63百万円でした。売上高は前期比3.7%増、営業利益は7.2%減、当期純利益は5.6%減です。売上高営業利益率は33.5%でした。
営業利益率は前期の37.5%から低下しましたが、それでも製造業として非常に高い水準です。第4四半期は、次世代高速通信関連の次期モデル立ち上げにより、売上高222億51百万円、営業利益78億52百万円、営業利益率35.3%となり、四半期として過去最高の業績でした。
セグメント別では、セラミック部品事業の売上高は637億97百万円、セグメント利益は245億73百万円でした。売上高は前期比2.1%増、セグメント利益は9.3%減です。情報通信関連が高水準に推移した一方、車載市況の弱含み、半導体関連の回復期ずれ、新製品立ち上げ時の歩留まり低下が影響しました。
照明機器事業の売上高は106億79百万円、セグメント利益は21億41百万円でした。売上高は前期比14.1%増、セグメント利益は49.0%増です。LED需要、オフィス改修、公共照明、高級マンション向けハイエンド照明が好調でした。
財政状態では、総資産1,626億91百万円、純資産1,472億62百万円、自己資本比率90.5%です。営業活動によるキャッシュフローは169億33百万円のプラス、投資活動によるキャッシュフローは217億57百万円のマイナス、現金及び現金同等物は669億86百万円でした。大きな設備投資を行いながら、財務は非常に健全です。
2027年3月期の会社予想では、売上高841億円、営業利益297億円を見込んでいます。経常利益以下は為替要因で変動するため、具体的な予想は開示されていません。年間配当予想は110円で、14期連続増配を予定しています。
投資家が確認したい数字は、次のようなものです。
売上高
営業利益
売上高営業利益率
セラミック部品事業の売上高と利益
照明機器事業の売上高と利益
情報通信、車載、半導体、産業機器、照明の市場別売上
設備投資額
減価償却費
営業キャッシュフロー
自己資本比率
現金及び現金同等物
配当金
MARUWA 株価 分析では、売上高だけでなく、営業利益率、新製品立ち上げの歩留まり、設備投資の稼働時期、情報通信と半導体の需要、車載の回復度を分けて確認する必要があります。
今後の注目ポイント
今後の注目ポイントは、第一に情報通信関連です。次世代高速通信関連の次期モデル向けで強い需要が期待されています。大幅な需要増加に対応するため、瀬戸工場新棟で生産体制を強化する方針です。通信向けの高周波・低損失・小型部品がどこまで伸びるかが重要です。
第二に、半導体関連です。汎用メモリ関連の需要は下期から本格的に拡大する見通しです。半導体製造装置向け部材や関連セラミック部品が伸びれば、三春工場新棟の稼働が業績に効いてきます。
第三に、車載関連です。新エネルギー車市場には減速感がありますが、差別化製品でシェア拡大を狙っています。パワー半導体基板、高放熱部材、車載電装向け部品の需要をどれだけ取れるかが注目です。
第四に、照明事業です。2030年100%LED化に向けたLED需要、公共照明、オフィス、高級住宅、景観照明がどこまで続くかを見たいところです。照明機器事業は規模ではセラミック部品に劣りますが、利益改善が進んでいます。
第五に、新工場の立ち上げです。瀬戸工場、土岐工場、三春工場の新棟が、計画通りに稼働し、歩留まりを安定させられるかが重要です。高付加価値部品は、立ち上げ時の歩留まりが利益率に大きく効きます。
第六に、2028年度売上高1,000億円の中期計画です。2027年3月期予想の売上高は841億円です。ここから1,000億円へ到達するには、情報通信、半導体、車載、照明の複数市場で成長を続ける必要があります。売上だけでなく、営業利益率30%台を維持できるかが焦点です。
投資対象として
投資対象としてのMARUWAは、セラミック材料・電子部品の高収益ニッチ企業として見る会社です。
魅力は、まず営業利益率の高さです。2026年3月期の営業利益率は33.5%で、2027年3月期予想でも35.3%が見込まれています。電子部品・セラミックメーカーとして、この利益率は非常に高い水準です。高付加価値領域に絞っていることが数字に表れています。
次に、成長市場への露出です。次世代高速通信、半導体製造装置、パワー半導体、車載電装、医療関連、LED照明など、複数の成長領域に製品を持っています。特に通信と半導体は、2027年3月期の成長ドライバーです。
さらに、財務の強さも魅力です。自己資本比率90.5%、現金及び現金同等物669億円という財務体質は、電子部品・半導体関連の市況変動に対する耐久力になります。設備投資と増配を両立できる余力があります。
一方で、注意点もあります。高収益だからこそ、投資家の期待も高くなります。半導体や通信需要が想定ほど伸びない場合、車載市場が弱い場合、新工場立ち上げで歩留まりが悪化する場合、株価は大きく調整する可能性があります。高収益企業は、少しの利益率低下でも評価が変わりやすいです。
また、MARUWAは詳細な市場別・製品別の開示が多い会社ではありません。情報通信、車載、半導体、産業機器、照明という市場別の方向性は示されますが、個別製品ごとの売上や顧客構成は限定的です。そのため、投資家は決算説明資料の市場別コメント、設備投資、四半期利益率、在庫・原材料、工場立ち上げ状況を丁寧に読む必要があります。
長期投資で見るなら、確認すべき点は三つです。まず、情報通信と半導体が中期的に売上を押し上げているか。次に、新工場の稼働と歩留まりが安定し、営業利益率30%台を維持できているか。そして、車載・照明・産業機器を含む複数市場で需要が分散しているかです。
MARUWAは、派手な完成品メーカーではありません。しかし、電子機器、半導体装置、パワーモジュール、通信機器、LED照明の中に入り込む高機能セラミック部品で高い収益性を出す会社です。投資対象として見るなら、セラミック材料の強さ、顧客用途、利益率、設備投資、歩留まり、配当方針を合わせて判断する必要があります。
まとめ
MARUWAは、江戸時代から続く陶芸家の家系をルーツに持ち、1946年に丸和合資会社として陶磁器製造を始め、1960年に電子部品用セラミックへ進出した会社です。1973年に丸和セラミックを設立し、チップ抵抗器用セラミック基板、誘電体セラミック、高周波部品、EMC対策部品、半導体製造装置向け石英ガラス、LED照明へ事業を広げてきました。
この会社の本質は、セラミック材料を成長用途へ展開することにあります。アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、SiC、石英ガラス、誘電体などを、半導体製造装置、次世代高速通信、パワー半導体、車載電装、産業機器、LED照明へ供給しています。
2026年3月期は、売上高744億円、営業利益249億円、親会社株主に帰属する当期純利益181億円でした。営業利益率は33.5%です。セラミック部品事業は売上高637億円、セグメント利益245億円、照明機器事業は売上高106億円、セグメント利益21億円でした。2027年3月期は売上高841億円、営業利益297億円を見込んでいます。
一方で、リスクもあります。車載市況の弱さ、半導体需要の期ずれ、新製品立ち上げ時の歩留まり低下、設備投資負担、原材料・エネルギーコスト、高収益ゆえの株価期待値リスクです。MARUWA 株価 分析では、「セラミック部品で強い会社」という一言では足りません。「次世代高速通信、半導体製造装置、パワー半導体、車載、LED照明に向けて高機能セラミック部品を供給し、高い営業利益率を維持する会社」として見ることが重要です。
個人投資家にとっては、セラミック部品事業、照明機器事業、情報通信、半導体、車載、設備投資、新工場、歩留まり、営業利益率、連続増配を分けて確認することが、MARUWAを理解する近道になります。