レーザーテックを一言でいうと

レーザーテックを一言で表すなら、「EUVリソグラフィに使われるフォトマスクやマスクブランクスの欠陥を検査する装置で、先端半導体の量産を支える高収益ニッチ装置メーカー」です。

半導体製造装置会社といっても、東京エレクトロンのように成膜・エッチング・洗浄など複数工程を持つ会社、SCREENホールディングスのように洗浄装置に強い会社、アドバンテストのように半導体テスターを扱う会社、東京精密のようにプロービングやダイシングを扱う会社など、役割はかなり違います。レーザーテックはその中でも、半導体の回路をウェーハへ転写するための「マスク」を検査する装置に強い会社です。

特に重要なのが、EUVマスク関連検査装置です。EUVは極端紫外線を使う露光技術で、先端ロジックやAI半導体の微細化に欠かせません。EUV露光では、EUVマスクブランクス、EUVマスク、ペリクル、裏面、パターン欠陥など、極めて高い精度で欠陥を見つける必要があります。レーザーテックは、この領域でABICS、ACTIS、BASIC、MATRICS、MAGICSなどの製品を持っています。

投資家がレーザーテックを見るときに大切なのは、「半導体装置会社」ではなく、「EUV時代の検査・計測会社」として見ることです。顧客は先端半導体メーカー、マスクメーカー、マスクブランクスメーカーなどです。ASMLの露光装置が半導体の回路を描く装置だとすれば、レーザーテックはその露光に使うマスク側の品質保証を担います。どれだけ高性能な露光装置があっても、マスクに欠陥があれば歩留まりは悪化します。ここに同社の存在価値があります。

レーザーテック 株価 分析では、売上高や営業利益だけでなく、EUV関連装置の受注、サービス売上、リードタイム、顧客投資計画、AI向け先端半導体投資、通期予想と中期計画の進捗を分けて見る必要があります。高収益企業である一方、先端半導体投資サイクルに強く連動し、株価の期待値も高くなりやすい会社です。

なぜ今レーザーテックを見るのか

今、レーザーテックを見る理由は、生成AIによって先端半導体への投資が続いているからです。

AIサーバー、GPU、HBM、先端ロジック、データセンター向け半導体では、より高性能で消費電力の低いチップが求められます。そのため、半導体メーカーは先端プロセスへの投資を続けます。先端プロセスで重要になるのがEUVリソグラフィです。EUV露光を使う工程が増えるほど、EUVマスクやEUVマスクブランクスの検査需要も増えます。

レーザーテックの2026年6月期第3四半期累計では、売上高は1,695億39百万円、営業利益は781億91百万円でした。品目別では、半導体関連装置が1,246億64百万円、サービスが420億63百万円です。売上高全体は前年同期比でわずかに増加しましたが、半導体関連装置は前年同期比で減少し、サービスは大きく伸びました。ここに、装置販売とサービス収益の性格の違いが表れています。

半導体製造装置は、顧客の投資タイミングで売上が大きく変わります。一方で、納入済み装置が増えるほど、保守、修理、アップグレード、部品、サービスの需要は積み上がります。レーザーテックは中期計画でサービス売上高構成比20%以上を目標にしています。装置販売がサイクルに左右される会社だからこそ、サービスの拡大は重要です。

また、2026年6月期の通期予想は、売上高2,200億円、営業利益1,000億円、親会社株主に帰属する当期純利益720億円です。前期比では減収減益予想ですが、それでも営業利益率は非常に高い水準です。市場が注目するのは、短期的な減収減益そのものよりも、受注回復のタイミングと、2030年6月期を最終年度とする中期経営計画の売上高4,000〜5,000億円、営業利益率35%以上という目標に向けた道筋です。

レーザーテックは、AI半導体の成長を受ける会社である一方、業績と株価はかなり振れやすい会社です。なぜなら、先端半導体メーカーの投資計画、EUV露光装置の導入、マスク検査装置の検収時期、サービス売上の増減、受注の見え方が、株式市場の期待を大きく動かすからです。良い会社であることと、いつ買ってもよい株であることは別です。投資対象としては、期待値と実績の差を慎重に見る必要があります。

成り立ち

レーザーテックの歴史は、1960年に有限会社東京ITV研究所として創業したところから始まります。創業当初は、医療用X線テレビカメラ装置の設計・開発を担う会社でした。現在のEUVマスク検査装置とは一見離れているように見えますが、画像、光、検査、計測という基礎はこの時代から続いています。

1962年には日本自動制御株式会社を設立し、X線テレビだけでなく最先端分野の技術開発に注力します。1970年代には半導体業界へ入り、1975年にLSIフォトマスク・ピンホール検査装置を開発・発売しました。1976年にはLSIフォトマスク欠陥検査装置「1MD1」を開発・発売しています。レーザーテックの現在の主力であるマスク検査技術は、この時代から積み上がってきました。

1986年には、日本自動制御株式会社からレーザーテック株式会社へ社名変更しました。社名の通り、レーザーや光応用技術を中核にする会社としての方向性が明確になります。1980年代にはレーザー顕微鏡、FPD用大型フォトマスク欠陥検査装置などを展開し、半導体だけでなくFPDや顕微鏡にも技術を広げました。

2000年には、マスクブランクス欠陥検査装置MAGICSシリーズ初代機を開発・発売しました。2000年代以降は、フォトマスク欠陥検査、マスクブランクス検査、ウェーハ検査、SiCウェーハ欠陥検査などへ展開します。2017年にはEUV光を用いたEUVマスクブランクス欠陥検査/レビュー装置「ABICS E120」を開発・発売し、2019年にはアクティニックEUVパターンマスク欠陥検査装置「ACTIS A150」を開発・発売しました。

この歴史を見ると、レーザーテックは流行に乗って突然EUV関連企業になったわけではありません。フォトマスク検査、レーザー顕微鏡、光応用技術、欠陥検査、画像処理を長年積み上げ、その延長線上にEUVマスク検査があります。創業時からの「世の中にないものをつくり、世の中のためになるものをつくる」という姿勢が、現在のグローバルニッチトップ戦略につながっています。

事業内容

レーザーテックの事業は、半導体関連装置、FPD関連装置、レーザー顕微鏡に分かれます。ただし、売上と利益の中心は半導体関連装置です。

半導体関連装置では、マスクブランクス、フォトマスク、ウェーハの検査・計測装置を扱います。主要製品には、EUVマスクブランクス欠陥検査/レビュー装置「ABICSシリーズ」、アクティニックEUVパターンマスク欠陥検査装置「ACTISシリーズ」、EUVマスク裏面検査/クリーニング装置「BASICシリーズ」、マスク検査装置「MATRICSシリーズ」、マスクブランクス欠陥検査/レビュー装置「MAGICSシリーズ」、SiCウェーハ欠陥検査/レビュー装置「SICA」などがあります。

EUVマスクブランクス欠陥検査は、EUVマスクを作る前の材料段階で欠陥を検出する工程です。マスクブランクスに欠陥があれば、その後にどれだけ高精度な加工をしても良品マスクにはなりません。したがって、マスクブランクス段階で欠陥を見つけることは、先端半導体の歩留まりに直結します。

ACTISシリーズは、EUV光を用いてパターン付きEUVマスクの欠陥を検査する装置です。EUVマスクは反射型であり、従来のDUVマスクとは性格が異なります。実際にEUV露光で使われる波長に近い条件で欠陥を見つけることが重要です。ここにアクティニック検査の意味があります。

ウェーハ関連では、ウェーハエッジ検査、膜厚全面検査、Si厚さ測定、SiCウェーハ欠陥検査などを提供しています。SiCやGaNなどの化合物半導体は、パワーデバイスや電動化の文脈で重要ですが、材料欠陥やウェーハ品質の管理が難しい分野です。レーザーテックは、EUVマスクだけでなく、ウェーハ側の検査ソリューションも持っています。

FPD関連装置では、FPDフォトマスクの欠陥検査装置を扱います。高精細ディスプレイを作るには、大型フォトマスクの欠陥検査が必要です。レーザー顕微鏡では、半導体材料、透明膜、コーティング材料、バイオ試料、金属部品、プラスチック加工部品など、幅広い分野の研究開発・品質管理に使われる装置を提供しています。

収益構造

レーザーテックの収益構造は、装置販売とサービスで成り立っています。決算上は検査・測定装置の設計、製造、販売を行う単一セグメントとして開示されていますが、投資家としては品目別に見ることが重要です。

2026年6月期第3四半期累計では、売上高1,695億39百万円のうち、半導体関連装置が1,246億64百万円、その他が28億11百万円、サービスが420億63百万円でした。半導体関連装置が最大の柱ですが、サービスも全体の約4分の1近くまで大きくなっています。

装置販売は高単価で高利益率ですが、顧客の投資計画に強く左右されます。EUVマスク検査装置は、先端半導体メーカーやマスク関連企業が導入する装置です。顧客がEUV投資を増やす局面では受注が増えますが、投資計画の見直しや検収時期のずれがあれば、売上は変動します。

サービスは、納入済み装置の保守、修理、部品、アップグレード、サポートなどです。半導体工場では検査装置を止めることができません。装置の稼働率、精度、安定性は歩留まりと生産性に直結します。そのため、装置の稼働台数が増えるほど、サービス需要は積み上がります。レーザーテックがサービス売上高構成比20%以上を目標にしているのは、装置販売のサイクル性を和らげるためでもあります。

レーザーテックの高収益性を支えるのは、ファブライト戦略です。自社で大規模量産工場を持つのではなく、生産を外部委託し、自社は研究開発、設計、顧客対応、製品企画、技術開発に集中します。会社は、社員の約7割がエンジニアであり、売上の5〜10%を研究開発費に投じると説明しています。製造固定費を抑えながら、差別化された装置を開発することで、高い営業利益率を実現しています。

ただし、このモデルには注意点もあります。外部委託先の生産能力、部材調達、立ち上げ工数、品質管理、リードタイムが業績に影響します。高付加価値であるほど、顧客仕様に合わせた調整も必要になります。ファブライトは高利益率の源泉である一方、サプライチェーン管理と協力会社との関係が重要になります。

事業内容の特徴

レーザーテックの特徴は、狭い市場を深く取りに行くグローバルニッチトップ戦略です。

同社は、半導体製造装置の全工程を扱う会社ではありません。露光装置も、成膜装置も、エッチング装置も、洗浄装置も、テスターも主力ではありません。狙っているのは、先端リソグラフィーに不可欠なマスク・マスクブランクス・ウェーハの検査・計測です。市場規模だけを見ると巨大ではありませんが、顧客にとっては代替しにくく、失敗できない工程です。

特にEUVマスク関連検査は、技術的な難易度が高く、参入障壁が大きい領域です。EUV光は波長13.5nmで、従来の露光技術とは異なる反射光学系を使います。マスクブランクスは多層膜構造で、欠陥検査も従来とは異なる難しさがあります。EUVマスクに欠陥があれば、ウェーハ上の大量のチップに同じ欠陥が転写される可能性があります。つまり、EUVマスク検査は先端半導体量産の保険のような役割を持っています。

もう一つの特徴は、顧客との密接な共同開発です。レーザーテックの顧客は、世界の先端半導体メーカー、マスクメーカー、マスクブランクスメーカーです。顧客は数が多いわけではありませんが、一社一社の技術要求が非常に高度です。レーザーテックは、そうした顧客の開発ロードマップに合わせて、まだ世の中にない装置を先に作る必要があります。

さらに、同社は開発スピードを重視します。公式の経営戦略では、フラットで柔軟な組織による迅速な意思決定、最速の製品開発を掲げています。大企業のように多階層の承認を重ねるよりも、顧客ニーズに素早く応えることを競争力にしています。これは就活生にとっても重要です。大規模な量産工場で分業する会社ではなく、エンジニアが顧客課題に近いところで装置開発に関わる会社です。

競合他社との違い

レーザーテックを競合と比較すると、半導体検査・計測の中でも非常に特殊な位置にいることが分かります。

KLAは、半導体プロセス制御・検査装置の世界的な大手です。ウェーハ欠陥検査、計測、プロセス制御で幅広い製品を持ちます。規模や製品群の広さではKLAが圧倒的です。一方、レーザーテックはEUVマスク関連の検査・計測という狭い領域に深く入り込み、高シェアを持つ会社です。KLAが広域のプロセス制御大手なら、レーザーテックはEUVマスク検査のニッチトップです。

ASMLは、EUV露光装置で圧倒的な存在感を持つ会社です。ただし、ASMLはレーザーテックの直接競合というより、EUVエコシステムの中心にいる会社です。ASMLのEUV露光装置が普及するほど、EUVマスクの品質保証が重要になり、レーザーテックの装置需要も高まります。ASMLが「描く装置」なら、レーザーテックは「その原版を検査する装置」と見ると分かりやすいです。

HOYAやAGCは、EUVマスクブランクスなどの材料側で重要です。HOYAはマスクブランクスそのものを供給する企業であり、レーザーテックはその欠陥を検査する装置を提供します。材料メーカーと装置メーカーという関係であり、同じEUVサプライチェーンにいます。

SCREENホールディングスは、半導体洗浄装置で強い会社です。レーザーテックとは工程が違います。SCREENがウェーハ洗浄で歩留まりを支える会社なら、レーザーテックはマスク検査で歩留まりを支える会社です。どちらも半導体量産の品質を支える点では共通しますが、技術と顧客課題は異なります。

アドバンテストや東京精密は、半導体テストやプロービング、加工に関わります。これらは完成したチップやウェーハの電気特性・加工工程に近い領域です。レーザーテックは、より前段のリソグラフィー用マスクの検査に関わります。半導体の不良を後で見つけるのではなく、不良の原因になるマスク欠陥を早い段階で見つける会社です。

事業の現代での潮流

レーザーテックを取り巻く潮流は、大きく五つあります。

第一に、生成AIによる先端半導体需要です。GPU、AIアクセラレーター、HBM、先端ロジック、データセンター向け半導体の需要が高まるほど、先端プロセス投資が続きます。先端プロセスではEUV露光が重要になり、EUVマスク検査の重要性も高まります。

第二に、EUV工程の拡大です。半導体の微細化が進むと、EUVを使うレイヤー数が増えます。露光工程が増えれば、マスクの枚数や検査需要も増えます。さらに、High-NA EUVのような次世代技術が進めば、マスク品質への要求はさらに高まります。レーザーテックの成長は、EUV技術の普及と深く結びついています。

第三に、歩留まり管理の重要性です。先端半導体では、チップ単価が高く、製造コストも大きくなります。マスク欠陥を見逃せば、大量のウェーハに不良が広がる可能性があります。つまり、検査装置は単なる補助装置ではなく、量産品質を守る装置です。半導体が高額化するほど、検査の価値は上がります。

第四に、サービスビジネスの拡大です。EUV関連装置の累積稼働台数が増えるほど、保守・部品・アップグレードの需要が増えます。レーザーテックの2026年6月期第3四半期累計では、サービス売上が前年同期比で大きく伸びています。装置販売だけでなく、既存装置の安定稼働を支えるサービスが収益の柱になりつつあります。

第五に、顧客投資の短期変動です。半導体市場は長期では成長が見込まれても、短期では投資計画の見直しが起こります。レーザーテックも、前期に一部顧客の投資計画見直しの影響を受けています。長期成長テーマが強い会社ほど、短期の受注変動と株価変動のギャップが大きくなりやすいです。

強み

レーザーテックの最大の強みは、EUVマスク関連検査装置における技術的な先行です。

同社は、EUVリソグラフィーに対応した高性能な検査装置の開発に早くから取り組み、EUVマスク欠陥検査の基盤技術を確立してきました。EUVマスクブランクス欠陥検査/レビュー装置、アクティニックEUVパターンマスク欠陥検査装置、EUVマスク裏面検査/クリーニング装置など、顧客のEUV量産に必要な製品群を持っています。

二つ目の強みは、グローバルニッチトップ戦略です。レーザーテックは、大手総合装置メーカーのように全方位で戦うのではなく、技術的な差別化が可能で、顧客から高い付加価値が求められる市場を狙います。半導体マスク・マスクブランクス欠陥検査装置の主要サプライヤーとして、世界で唯一の製品や高シェアの製品を提供している点が、同社の収益性を支えています。

三つ目の強みは、ファブライト経営です。生産を外部委託し、自社は研究開発、設計、顧客対応に集中します。固定資産を大きく持たずに高付加価値製品を開発できるため、営業利益率が高くなりやすい構造です。2026年6月期第3四半期累計でも、営業利益率は46%台です。

四つ目の強みは、サービス収益の拡大です。装置納入後も、顧客が半導体量産を続ける限り、保守や部品、改造、サポートが必要になります。2026年6月期第3四半期累計では、サービス売上が420億63百万円まで伸びました。装置の累積出荷が増えるほど、サービス事業の基盤も厚くなります。

五つ目の強みは、財務体質です。2026年6月期第3四半期末の自己資本比率は72.5%で、現金及び預金は800億円を超えています。研究開発、顧客サポート、人材採用、株主還元を進めるうえで、財務の厚さは重要です。

弱み・リスク

一方で、レーザーテックには明確なリスクもあります。

第一に、EUV投資への依存です。レーザーテックの強みはEUV関連装置ですが、強みが集中している分、顧客のEUV投資計画に大きく左右されます。先端半導体メーカーが投資を延期したり、装置導入時期を見直したりすれば、受注・売上に影響します。

第二に、顧客集中リスクです。先端半導体メーカー、マスクメーカー、マスクブランクスメーカーの数は限られています。顧客一社あたりの金額が大きく、投資計画の変更が業績に大きく効きます。これはニッチトップ企業の宿命です。高シェアであることは強みですが、顧客が限られることはリスクでもあります。

第三に、リードタイムと生産能力です。レーザーテックはファブライト経営で高収益を実現していますが、装置の立ち上げや製造委託先との連携が重要になります。需要が急増したときに納期が長くなれば、顧客満足度や売上計上タイミングに影響します。会社はACTISやMATRICSなど主要マスク検査装置のリードタイム短縮に取り組んでいますが、これは今後も重要な課題です。

第四に、技術競争です。現時点で高いポジションを持っていても、半導体技術は止まりません。High-NA EUV、新しいマスク構造、新材料、新しい欠陥検査ニーズが出れば、それに合わせた装置開発が必要です。研究開発を続けなければ、優位性は維持できません。

第五に、株価の期待値リスクです。レーザーテックは高成長・高利益率・EUV関連という分かりやすいテーマを持つため、市場から高い評価を受けやすい会社です。そのぶん、受注の一時的な弱含み、通期予想の据え置き、利益率低下、顧客投資の延期が見えると、株価は大きく動きやすくなります。優良企業であっても、株価変動は大きくなりやすい点に注意が必要です。

第六に、サービス人材とグローバル対応です。装置が世界中の顧客工場で稼働するほど、サービスエンジニアの質と量が必要になります。装置販売だけなら開発力が中心ですが、サービス拡大では人材育成、海外拠点、顧客対応、部品供給体制が重要になります。

数字で見るレーザーテック

数字で見ると、レーザーテックは日本の製造業の中でも非常に高い利益率を持つ会社です。

2026年6月期第3四半期累計の売上高は1,695億39百万円、営業利益は781億91百万円、経常利益は804億49百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は568億23百万円でした。営業利益率は46.1%です。売上高は前年同期比0.4%増、営業利益は1.4%減、経常利益は6.7%増、純利益は7.8%増でした。

品目別では、半導体関連装置が1,246億64百万円、その他が28億11百万円、サービスが420億63百万円でした。半導体関連装置は前年同期比で6.7%減少しましたが、サービスは35.5%増加しています。ここから、装置販売は顧客の投資タイミングで変動する一方、サービスが積み上がり始めていることが分かります。

地域別では、2026年6月期第3四半期累計で、日本が202億95百万円、韓国が491億85百万円、台湾が314億1百万円、その他アジアが184億63百万円、米国が445億62百万円、欧州が56億30百万円でした。韓国、台湾、米国などの先端半導体投資地域が大きな売上地域です。

財政状態では、2026年6月期第3四半期末の総資産は3,108億12百万円、純資産は2,254億89百万円、自己資本比率は72.5%でした。現金及び預金は800億27百万円、仕掛品は1,195億98百万円です。仕掛品が大きいのは、装置の製造期間が長く、受注から売上計上まで時間差がある装置メーカーらしい構造です。

キャッシュフローでは、営業活動によるキャッシュフローが368億23百万円のプラス、投資活動によるキャッシュフローが12億10百万円のマイナス、財務活動によるキャッシュフローが431億69百万円のマイナスでした。財務活動のマイナスは、主に配当金支払いと自己株式取得によるものです。

2026年6月期通期予想では、売上高2,200億円、営業利益1,000億円、経常利益1,000億円、親会社株主に帰属する当期純利益720億円を見込んでいます。年間配当予想は329円です。会社は、連結配当性向35%を目安とする方針を示しています。

投資家が確認したい数字は、次のようなものです。

売上高

営業利益

営業利益率

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

半導体関連装置売上

サービス売上

受注高と受注残高

仕掛品

地域別売上

営業キャッシュフロー

自己資本比率

研究開発費

配当金

自己株式取得

レーザーテック 株価 分析では、営業利益率の高さだけでなく、半導体関連装置とサービスの構成、受注回復のタイミング、仕掛品の水準、顧客地域、株主還元を合わせて見る必要があります。

今後の注目ポイント

今後の注目ポイントは、第一にEUVマスク関連装置の受注回復です。2026年6月期は下期から受注が徐々に回復する見通しが示されています。EUV関連装置は高単価で業績への影響が大きいため、受注のタイミングが重要です。

第二に、ACTISとABICSです。ACTISはアクティニックEUVパターンマスク欠陥検査装置、ABICSはEUVマスクブランクス欠陥検査/レビュー装置です。EUVマスクの実用性と量産歩留まりを支える中核製品です。先端ロジックやHigh-NA EUVへの移行が進むほど、これらの装置の重要性は高まります。

第三に、サービス売上です。サービス売上高構成比20%以上という目標に向け、保守・部品・改造・サポートがどこまで伸びるかが注目です。サービスは装置販売に比べて安定性があり、納入済み装置が増えるほど積み上がります。

第四に、リードタイム短縮です。顧客の投資タイミングに合わせて装置を納入できなければ、機会損失になります。Lasertec Innovation Parkの活用、製造・立ち上げ工程の改善、外部委託先との連携強化が重要です。高成長を続けるには、開発力だけでなく供給力も必要です。

第五に、次世代EUVです。High-NA EUV、新しいマスク材料、新構造デバイス、EUVペリクル、裏面検査など、技術課題は増え続けます。レーザーテックが次世代の検査ニーズを先取りできるかが、中期成長の核心です。

第六に、株主還元です。2026年6月期は年間配当329円予想で、自己株式取得も行っています。高収益で財務も強い会社であるため、成長投資と株主還元のバランスが注目されます。

投資対象として

投資対象としてのレーザーテックは、EUVマスク検査という非常に強いニッチを持つ高収益成長株です。一方で、先端半導体投資サイクルと株価期待値の影響を強く受ける会社でもあります。

魅力は、まず技術ポジションです。EUVマスクブランクス検査、EUVパターンマスク検査、マスク裏面検査、ウェーハ関連検査など、先端半導体量産に不可欠な検査・計測装置を持っています。EUV露光が続く限り、マスク検査の重要性は高いままです。

次に、収益性です。2026年6月期第3四半期累計の営業利益率は46%台です。ファブライト戦略、グローバルニッチトップ製品、高付加価値装置、サービス収益が組み合わさって、非常に高い利益率を実現しています。

さらに、長期成長テーマです。生成AI、先端ロジック、HBM、データセンター、High-NA EUV、次世代マスク検査という流れは、中長期的には同社に追い風です。半導体市場全体が拡大し、微細化・高性能化が続くほど、検査・計測の重要性は増します。

一方で、注意点も多いです。顧客数が限られるため、受注の山谷が大きくなります。装置の検収時期がずれるだけで、四半期業績の見え方は変わります。EUV関連の期待が株価に大きく織り込まれている場合、受注や利益率が少し鈍るだけでも株価は大きく動く可能性があります。

長期投資で見るなら、確認すべき点は三つです。まず、EUV関連装置の受注が中期的に回復・拡大しているか。次に、サービス売上が増え、装置販売サイクルの変動を和らげているか。そして、2030年6月期に向けた売上高4,000〜5,000億円、営業利益率35%以上という中期計画に現実味があるかです。

レーザーテックは、半導体装置の中でも特別な会社です。巨大な工場で大量生産するメーカーではなく、世界の先端半導体メーカーが必要とする「世の中にない検査装置」を開発する会社です。投資対象として見るなら、企業の技術的な強さと、株価に織り込まれた期待値を分けて考える必要があります。

まとめ

レーザーテックは、1960年に東京ITV研究所として創業し、医療用X線テレビカメラ装置から始まった会社です。その後、1970年代に半導体フォトマスク検査へ入り、1975年にLSIフォトマスク・ピンホール検査装置、1976年にLSIフォトマスク欠陥検査装置を開発しました。現在は、EUVマスク関連検査装置を中心とする半導体検査・計測装置メーカーです。

この会社の本質は、半導体製造工程の中でも、先端リソグラフィーの品質保証を担うことにあります。EUVマスクブランクス、EUVパターンマスク、マスク裏面、ウェーハ欠陥、SiCウェーハなど、微細化と高性能化が進むほど重要になる検査領域に製品を持っています。

2026年6月期第3四半期累計では、売上高1,695億円、営業利益781億円、親会社株主に帰属する四半期純利益568億円でした。半導体関連装置は1,246億円、サービスは420億円です。通期予想は売上高2,200億円、営業利益1,000億円、純利益720億円です。短期的には減収減益予想ですが、営業利益率は依然として非常に高い水準です。

一方で、リスクも明確です。EUV投資への依存、顧客集中、受注の山谷、検収タイミング、リードタイム、技術競争、株価期待値の高さがあります。レーザーテック 株価 分析では、「EUV関連だから強い」という一言では足りません。「EUVマスク検査という先端半導体の歩留まりを守るニッチで高シェアを持ち、ファブライト経営とサービス拡大で高収益を生む会社」として見ることが重要です。

個人投資家にとっては、EUVマスクブランクス検査、ACTIS、ABICS、サービス売上、受注回復、仕掛品、顧客投資、2030年に向けた中期計画を分けて確認することが、レーザーテックを理解する近道になります。