カゴメを一言でいうと
カゴメは、トマトケチャップ、トマトジュース、野菜生活100、野菜一日これ一本、業務用トマトソース、加工用トマト原料などを展開する、トマトと野菜に強い食品・飲料メーカーです。一般には「ケチャップと野菜ジュースの会社」として知られていますが、企業研究として見るなら、家庭用食品だけでなく、農業、品種開発、原料調達、加工、飲料、業務用、海外トマト加工までを一体で持つ会社として理解する必要があります。
カゴメの特徴は、食品メーカーでありながら、出発点が農業にあることです。創業者の蟹江一太郎が1899年にトマトなどの西洋野菜の栽培を始めたことが原点であり、1903年には自宅の納屋でトマトソースの製造を開始しました。現在のカゴメも、単に原料を買って加工して売る会社ではなく、「農から価値を形成するバリューチェーン」を重視しています。品種・栽培技術、栽培、調達、生産、マーケティング、販売までをつなぎ、野菜の価値を商品に変える会社です。
カゴメ 強みは、トマトと野菜に関するブランド力だけではありません。農から始まる原料理解、トマト加工の技術、野菜飲料の市場創造、家庭用と業務用の両方を持つ販売力、海外でのトマト一次加工・二次加工のネットワークが重なっている点にあります。国内では、トマトケチャップや野菜生活100のような定番ブランドが収益基盤です。海外では、米国・欧州・インドなどでフードサービス向けのトマト加工品を伸ばそうとしています。
一方で、カゴメは単純な安定食品株ではありません。トマトや野菜は天候、収穫量、国際市況、為替、物流、エネルギー費に大きく左右されます。2025年12月期は、国内加工食品は飲料が全体を牽引したものの、国際事業ではトマトペースト市況の下落や一時的損失により減収減益となりました。つまり、カゴメは「野菜の健康イメージ」で語られる会社であると同時に、農産物市況とグローバル加工食品市場の影響を受ける会社でもあります。
なぜ今カゴメを見るのか
今カゴメを見る理由は、同社が「国内の野菜飲料・ケチャップ会社」から、「農を起点に国内外で価値を作るグローバル食品企業」へ進もうとしているからです。
国内市場では、野菜不足、健康志向、簡便調理、共働き世帯の増加、高齢化が大きなテーマになっています。日本人の食生活では野菜摂取量が不足しがちであり、カゴメは野菜飲料やトマト加工品を通じて、その不足を補う提案をしてきました。野菜生活100、野菜一日これ一本、トマトジュース、トマトケチャップ、トマトソースは、健康、手軽さ、調理の簡便性を同時に満たす商品です。
しかし、国内だけでは大きな成長は簡単ではありません。飲料市場は成熟しており、スーパーやドラッグストアでは価格競争もあります。原材料価格や包装資材、物流費、人件費も上昇しています。カゴメは価格改定を進めていますが、値上げ後に販売数量が落ちるリスクがあります。2026年第1四半期では、国内加工食品事業において価格改定を行った一方、一部商品の販売数量減少や販売促進費の増加により減収減益となりました。
そのため、カゴメが次の成長源として重視しているのが国際事業です。国際事業では、トマト他一次加工とトマト他二次加工が中心です。一次加工は、加工用トマトをペーストなどに加工する事業です。二次加工は、そのトマトペーストを使って、ソースや調味料、フードサービス向け商品に加工する事業です。特に米国や欧州、インドで、外食・食品メーカー向けにトマト加工品を提供する事業は、国内家庭用商品とは違う成長余地を持ちます。
2026年から2028年までの中期経営計画「Kagome Group Plan 2028」では、2028年に売上収益3,250億円、事業利益270億円、ROE9%以上を目標に掲げています。2035年には売上収益5,000億円、事業利益500億円、ROE12%以上を目指します。ここでの中心テーマは、「農から価値を形成するバリューチェーン」を進化させ、国内外で競争優位性を築くことです。
つまり、今のカゴメを見るポイントは、国内の定番ブランドを守りながら、海外のトマト加工バリューチェーンでどこまで稼げる会社になれるかです。就活生にとっては、商品開発や営業だけでなく、農業、原料調達、海外事業、業務用提案、健康価値創出に関われる会社です。個人投資家にとっては、安定ブランドと国際事業の市況変動をどう評価するかが重要になります。
成り立ち
カゴメの始まりは、1899年です。創業者の蟹江一太郎が、愛知県でトマトなどの西洋野菜の栽培に着手したことが原点です。当時の日本では、トマトは現在のように一般的な野菜ではありませんでした。生で食べる文化も薄く、青臭さが嫌われることもありました。そこで、売れにくかったトマトを加工し、ソースとして販売することから事業が広がっていきます。
1903年には、自宅の納屋でトマトソースの製造を開始しました。これが、現在のカゴメの加工食品事業につながります。カゴメの歴史を見ると、最初から「売れる商品を仕入れて売る会社」だったのではなく、売れなかった野菜に加工という価値を加え、日本の食卓に新しい食文化を広げてきた会社だと分かります。
1917年には「カゴメ印」を商標として登録しました。この「カゴメ」は、六芒星の籠目紋に由来するとされ、現在の社名とブランドの源流です。1923年には愛知トマト製造株式会社となり、トマト加工食品メーカーとしての形を整えていきました。トマトケチャップ、トマトジュース、トマトソースは、日本の洋食文化の広がりとともに普及していきます。
戦後、日本の食生活が大きく変化する中で、カゴメは家庭用調味料と飲料を広げていきました。オムライス、ナポリタン、ハンバーグ、洋食メニューに欠かせないトマトケチャップは、家庭の冷蔵庫に常備される定番商品になりました。トマトジュースや野菜ジュースは、野菜不足を補う飲料として定着します。
1990年代以降は、野菜生活100のような野菜・果実ミックス飲料が広がり、カゴメは「トマトの会社」から「野菜の会社」へとイメージを広げました。近年は、国内加工食品だけでなく、海外のトマト加工事業も強化しています。Ingomar PackingやVegitalia、Silbury Marketingなどの事業を通じて、世界の食品メーカーや外食企業向けにトマト加工品を供給する方向へ進んでいます。
事業内容
カゴメの事業は、国内加工食品事業、国際事業、その他に分けて見ると分かりやすいです。
国内加工食品事業は、カゴメの顔となる事業です。飲料、通販、食品他に分かれます。飲料では、トマトジュース、野菜生活100、野菜一日これ一本、糖質オフ・機能性表示食品などを展開します。健康志向、野菜不足、朝食需要、子育て世帯、シニア層など、生活者の幅広い課題に対応する商品群です。
食品では、トマトケチャップ、トマトソース、パスタソース、調理用ソース、業務用商品、冷凍野菜などを扱います。家庭用では、オムライス、ナポリタン、ハンバーグなどの定番メニューに使われます。業務用では、外食、学校給食、食品メーカー、惣菜、レストランチェーンに向けて、トマトソースや調味料を提供します。カゴメの食品事業は、家庭の冷蔵庫だけでなく、外食や中食の裏側にも入り込んでいます。
通販では、健康意識の高い顧客へ向けたトマトジュースやスープなどを扱います。スーパーやコンビニで広く売る商品とは違い、顧客との継続的な関係を作るチャネルです。2025年12月期には、通販限定のトマトジュース「日本のトマト」やスープが堅調に推移しました。
国際事業は、カゴメの成長領域です。トマト他一次加工では、加工用トマトを生産・調達し、トマトペーストなどに加工します。トマト他二次加工では、一次加工品を使って、ソースや調味料などのフードサービス向け商品を作ります。米国、欧州、インドなどで、外食企業や食品メーカーへソリューションを提供することが重要です。
その他には、生鮮野菜や関連事業があります。カゴメは生鮮トマトなども扱い、家庭園芸用の苗や土のような商品も持ちます。これらは売上規模だけで見ると主力ではありませんが、「農から食へ」というカゴメらしさを支える事業です。
収益構造
カゴメの収益構造は、国内加工食品の安定収益と、国際トマト加工事業の成長・市況変動を組み合わせたものです。
2025年12月期の売上収益は2,942億円、事業利益は226億円でした。前年に比べると、売上収益は減少し、事業利益も減少しています。国内加工食品事業は、売上収益1,573億円、事業利益155億円でした。飲料が全体を牽引し、通販も増収増益でしたが、原材料などの製造費用上昇により、飲料や食品他の利益は伸び悩みました。
国際事業は、売上収益1,298億円、事業利益92億円でした。トマトペースト市況の下降により販売価格が下がり、トマト他一次加工は減収減益となりました。トマト他二次加工も、一部顧客向け販売の低調や価格下落、一時的損失により減収減益でした。ここから分かるのは、国際事業は成長余地が大きい一方、農産物市況や加工品価格の影響を強く受けるということです。
カゴメの国内加工食品事業は、ブランド力が強く、比較的安定しています。野菜生活100やトマトケチャップは、生活者が繰り返し買う商品です。一方で、低価格のプライベートブランド、競合飲料、値上げ後の数量減、スーパーやドラッグストアとの価格交渉、原材料高が利益を圧迫します。売上が安定していても、利益率を維持するには価格改定とコスト低減が必要です。
国際事業は、カゴメの将来成長を担う一方、利益の振れ幅が大きい事業です。トマトペースト市況が高ければ利益が出やすく、下落すれば販売価格が下がります。加工用トマトは天候、収穫量、水資源、農業コスト、為替、物流、エネルギーに左右されます。さらに、一次加工だけでは市況商品になりやすいため、カゴメは二次加工、フードサービス向け提案、インドでのバリューチェーン構築へ力を入れています。
投資家が見るべきなのは、売上収益だけではありません。事業利益率、国内加工食品の価格改定後の数量、国際事業の一次加工と二次加工の利益差、営業キャッシュフロー、在庫、為替、原材料コストを合わせて見る必要があります。
事業内容の特徴
カゴメの事業内容の特徴は、農業と食品加工の距離が近いことです。
食品メーカーの多くは、原料調達、製造、販売を行います。しかしカゴメの場合、原料であるトマトや野菜との関わりが非常に深いです。品種開発、栽培技術、契約農家との関係、加工用トマトの糖度向上、歩留まり改善、農業指導などが、商品の競争力に直結します。トマトケチャップやトマトソースは、レシピだけでなく、どのトマトをどう育て、どう加工するかで品質とコストが変わります。
もう一つの特徴は、家庭用と業務用の両方を持つことです。家庭用では、消費者がスーパーやコンビニで買うケチャップ、ジュース、野菜飲料が中心です。業務用では、外食チェーン、食品メーカー、給食、惣菜、ホテルなどにトマト加工品を提供します。家庭用ブランドで知名度を作り、業務用で大量需要を取り込む構造です。
さらに、国内と海外の事業内容がかなり違います。国内では、野菜飲料やケチャップのブランドビジネスが中心です。海外では、トマトペーストやソースなどの加工食品を、食品メーカーやフードサービス企業へ提供するBtoB色の強い事業になります。海外で「カゴメ」というブランドを一般消費者が知っているかよりも、外食・食品メーカーに対して品質、供給安定性、提案力を示せるかが重要です。
カゴメの面白さは、「野菜を摂ろう」という生活者向けの健康価値と、「トマト加工品を安定供給する」という産業向けの食品インフラの両方を持つことです。国内の消費者には野菜生活100やトマトジュースとして見え、海外の食品メーカーにはトマト原料やソースとして見える。この二面性が、同社の事業構造を理解するうえで重要です。
競合他社との違い
カゴメの競合は、家庭用食品ではキッコーマン、ハウス食品、キユーピー、ブルドックソース、エスビー食品などです。飲料では伊藤園、サントリー食品、キリン、アサヒ飲料、コカ・コーラ系企業が競合になります。海外のトマト加工では、世界のトマトペーストメーカー、食品素材メーカー、業務用ソースメーカーと競争します。
伊藤園との違いは、健康価値の起点です。伊藤園は「お〜いお茶」を中心に、無糖茶飲料と日本茶文化を強みにしています。カゴメは、トマトと野菜を中心に、野菜摂取、リコピン、食卓の調理、野菜飲料を強みにします。どちらも健康志向と相性がよい会社ですが、伊藤園が「飲むお茶」で日常に入るのに対し、カゴメは「飲む野菜」と「食べるトマト加工品」で日常に入ります。
サッポロホールディングスとの違いは、主力カテゴリーです。サッポロは黒ラベルやヱビスなどの酒類ブランドが中心で、ポッカサッポロを通じてレモン・スープ・飲料を持ちます。カゴメは酒類ではなく、トマト、野菜、健康、食卓メニューに集中しています。サッポロが飲む場やビール文化と結びつくのに対し、カゴメは家庭の食卓、朝食、野菜不足、洋食メニューと結びつきます。
キッコーマンとの比較も重要です。キッコーマンはしょうゆを世界の調味料として広げ、高い海外収益力を持ちます。カゴメも海外でトマト加工事業を持ちますが、キッコーマンのように消費者向けブランドを世界中で浸透させている段階ではありません。カゴメの海外事業は、BtoBのトマト加工バリューチェーンが中心です。将来的に、トマト加工品や野菜の健康価値をどこまで世界で収益化できるかが課題です。
食品メーカーとしてのカゴメの違いは、農を前面に出していることです。キユーピーはマヨネーズや惣菜、ハウス食品はカレーやスパイス、キッコーマンはしょうゆや調味料、伊藤園は茶です。カゴメは、トマトと野菜を軸に、農業から加工食品までをつなぐ会社です。この「農から食へ」の一貫性が、競合との最大の違いです。
事業の現代での潮流
カゴメを取り巻く潮流は、健康志向、野菜不足、簡便調理、原材料高、農業の担い手不足、海外フードサービス需要、為替・市況変動です。
健康志向は、カゴメにとって大きな追い風です。生活者は、野菜不足、塩分、糖質、カロリー、免疫、腸内環境、生活習慣病を気にしています。野菜飲料やトマトジュースは、こうした課題に対して分かりやすい商品です。ただし、健康志向だけで商品が売れるわけではありません。おいしさ、価格、手軽さ、飲みやすさ、続けやすさが必要です。
簡便調理も重要です。共働き世帯や単身世帯では、手間をかけずに野菜を摂りたい、短時間で食事を作りたいという需要があります。カゴメのトマトソース、パスタソース、調理用ソース、野菜飲料は、この需要に合っています。家庭用だけでなく、外食・中食でも、調理の省人化につながる業務用ソースや冷凍野菜への需要があります。
原材料高は大きなリスクです。農産物、トマトペースト、果実、野菜、包装材、エネルギー、物流費、人件費が上がると、食品メーカーの利益率は圧迫されます。カゴメは価格改定と原価低減を進めていますが、価格改定後に販売数量が落ちると、増益効果は薄れます。2026年の国内加工食品事業でも、価格改定による増益を見込む一方、販売数量減や原材料高の影響が織り込まれています。
農業の担い手不足も長期課題です。カゴメは「農から価値を形成する」会社である以上、原料を安定して確保できなければ成長できません。加工用トマトの品種開発、栽培技術、農業指導、省人化投資、農業DXは、単なる社会貢献ではなく、事業継続のための重要な投資です。
海外では、フードサービス需要が重要です。外食チェーンや食品メーカーは、品質が安定したトマトソースや加工品を必要とします。米国、欧州、インドで、カゴメがフードサービス向けにソリューション提案を強めるのは、単なる素材売りから抜け出すためです。一次加工だけでは市況に左右されやすいため、二次加工と提案力が重要になります。
強み
カゴメの第一の強みは、トマトと野菜に対する圧倒的なブランド認知です。トマトケチャップ、トマトジュース、野菜生活100は、家庭の中に深く入り込んでいます。食品メーカーにとって、長年買われ続ける定番商品は非常に大きな資産です。
第二の強みは、農から始まるバリューチェーンです。品種・栽培技術、栽培、調達、生産、マーケティング、販売までをつなぐことで、単なる加工メーカーではない競争力を作っています。トマトや野菜は自然条件に左右されるため、原料の理解と調達力が利益に直結します。
第三の強みは、家庭用と業務用の両方を持つことです。家庭用ではブランド力で棚を取り、業務用では外食・食品メーカー向けに大量需要を取り込みます。家庭用ブランドが企業イメージを作り、業務用が産業向けの安定需要を支える構造です。
第四の強みは、健康価値を分かりやすく伝えられることです。野菜不足を補う、トマトのリコピンを摂る、野菜を手軽に飲む。こうした価値は、消費者に説明しやすいものです。食品メーカーの中でも、健康と日常性を結びつけやすい会社です。
第五の強みは、海外トマト加工のネットワークです。Ingomar、Vegitalia、Silburyなどを通じて、米国や欧州、インドでトマト加工品を展開できます。国内ブランドだけでなく、海外BtoBで成長できる可能性を持つ点は、今後のカゴメを考えるうえで重要です。
弱み・リスク
カゴメの第一のリスクは、原材料市況です。トマト、野菜、果実、包装材、エネルギー、物流費の上昇は、利益率を圧迫します。特に国際事業では、トマトペースト市況の上昇・下落が売上と利益に大きく影響します。農産物を扱う会社である以上、天候や作柄から逃れることはできません。
第二のリスクは、価格改定後の数量減です。原材料高を受けて価格を上げても、消費者が買い控えたり、競合やプライベートブランドへ流れたりすれば、売上数量が落ちます。2026年第1四半期にも、価格改定後の一部商品の販売数量減少が国内加工食品事業の減益要因となりました。
第三のリスクは、国内市場の成熟です。トマトケチャップや野菜飲料はすでに広く普及しています。大きな数量成長を期待するには、新しい飲用シーン、調理シーン、機能性、通販、業務用、若年層への訴求が必要です。定番商品は強い一方、伸び率が低くなりやすいという課題があります。
第四のリスクは、国際事業の変動性です。海外事業は成長ドライバーですが、トマトペースト市況、為替、物流、顧客の発注動向、現地製造トラブル、M&A後の統合に左右されます。2025年12月期には、国際事業で市況下落と製造工程不具合などの一時的損失が利益を押し下げました。
第五のリスクは、農業の構造課題です。加工用トマトや野菜を安定調達するには、農家との関係、栽培技術、担い手確保、水資源、気候変動対応が必要です。カゴメの強みである農とのつながりは、同時に農業リスクを抱えることでもあります。
数字で見るカゴメ
カゴメを見るときは、売上収益、事業利益、営業利益、事業利益率、国内加工食品事業の利益、国際事業の一次加工・二次加工の利益、営業キャッシュフロー、ROEを確認する必要があります。
2025年12月期の売上収益は2,942億円、事業利益は226億円でした。国内加工食品事業は売上収益1,573億円、事業利益155億円でした。飲料は841億円、通販は139億円、食品他は591億円の売上収益です。事業利益では、飲料が86億円、通販が9億円、食品他が59億円でした。
国際事業は、売上収益1,298億円、事業利益92億円でした。内訳では、トマト他一次加工が売上収益696億円、事業利益53億円、トマト他二次加工が売上収益636億円、事業利益44億円でした。前年に比べると、トマトペースト市況の下降や販売価格低下、一時的損失により減収減益でした。
キャッシュフローでは、2025年12月期の営業活動によるキャッシュフローは269億円、投資活動によるキャッシュフローはマイナス114億円、フリーキャッシュフローは154億円でした。食品メーカーとして安定した営業キャッシュフローを生みつつ、M&Aや設備投資、農からのバリューチェーン強化へ資金を使う構造です。
2026年12月期の会社予想では、売上収益3,100億円、事業利益230億円、営業利益230億円、当期利益134億円が見込まれています。中期経営計画では、2028年に売上収益3,250億円、事業利益270億円、ROE9%以上、2035年に売上収益5,000億円、事業利益500億円、ROE12%以上を目指しています。
2026年第1四半期では、売上収益675億64百万円、事業利益34億38百万円、営業利益41億24百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益20億55百万円でした。国内加工食品は減収減益、国際事業はSilburyの連結効果により増収となったものの、事業利益は減少しました。中期目標に向けて、価格改定後の数量回復と国際事業の利益率改善が重要です。
今後の注目ポイント
今後の第一の注目ポイントは、国内加工食品事業の利益率改善です。飲料、通販、食品他の売上を維持しながら、原材料高を価格改定と原価低減で吸収できるかが重要です。野菜生活100やトマトジュース、トマトケチャップのような定番商品で、数量を落としすぎずに単価を上げられるかを見る必要があります。
第二の注目ポイントは、国際事業の二次加工拡大です。一次加工はトマトペースト市況の影響を強く受けます。二次加工やフードサービス向けソリューションを増やせれば、単なる素材販売から抜け出しやすくなります。米国や欧州で大規模顧客を開拓できるか、Silburyの買収効果を出せるかが焦点です。
第三の注目ポイントは、インド事業です。インドはトマト生産量が大きく、国内消費も大きい市場です。一方で、トマト加工産業はまだ市場形成期であり、原料調達から二次加工まで一貫したバリューチェーンを作れる余地があります。カゴメはインドでの栽培に適した加工用トマトの栽培推進や農業指導を進めようとしています。
第四の注目ポイントは、農業と技術への投資です。加工用トマトの糖度向上、歩留まり改善、省人化、製造効率、品種開発、農業DXは、利益率に直結します。食品メーカーとしてのマーケティングだけでなく、農と生産の技術が競争力になる点がカゴメらしいところです。
第五の注目ポイントは、新規価値領域です。中期経営計画では、未来の柱をつくる新規価値領域の創造が掲げられています。野菜の健康価値、機能性、パーソナル栄養、法人向け健康支援、環境対応、農業課題解決など、カゴメの強みを使える領域は複数あります。ただし、新規領域は投資先行になりやすく、収益化まで時間がかかります。
投資対象として
カゴメを投資対象として見る場合、同社は「国内の定番食品ブランド企業」であると同時に、「海外トマト加工事業で成長を狙う農発の食品メーカー」と整理できます。
ポジティブに見るなら、カゴメには強いブランドがあります。トマトケチャップ、トマトジュース、野菜生活100は、生活者に深く浸透しています。健康志向や野菜不足という社会課題は、同社の商品価値と相性がよく、急激に需要が消えるタイプの商品ではありません。国内加工食品は、成熟市場の中でも安定した収益基盤です。
また、国際事業には成長余地があります。米国、欧州、インドで、トマト加工品をフードサービスや食品メーカー向けに展開できれば、国内市場の成熟を補うことができます。農から価値を形成するバリューチェーンを海外でも構築できれば、カゴメならではの競争力になります。
一方で、慎重に見るべき点もあります。2025年12月期は国際事業が減収減益となり、トマトペースト市況や一時的損失の影響が出ました。国内でも原材料費上昇や価格改定後の数量減が課題です。カゴメは安定ブランド企業に見えますが、農産物市況と原価上昇にはかなり敏感です。
したがって、カゴメの株価を見るときは、売上収益だけでなく、事業利益率、国内加工食品の数量と単価、国際事業の一次加工と二次加工の収益性、営業キャッシュフロー、ROE、原材料価格、為替、戦略投資の回収を確認する必要があります。投資対象としては、生活者に近い安定ブランドを持ちながら、海外トマト加工の成否で評価が変わる会社です。
まとめ
カゴメは、1899年に蟹江一太郎がトマトなどの西洋野菜の栽培を始めたことを原点とする食品・飲料メーカーです。1903年にはトマトソースの製造を開始し、その後、トマトケチャップ、トマトジュース、野菜生活100、業務用トマト加工品へ広げてきました。
カゴメ 強みは、トマトと野菜に関するブランド力、農から始まるバリューチェーン、品種・栽培技術、原料調達、加工技術、家庭用と業務用の両面展開、海外トマト加工ネットワークにあります。単なる飲料メーカーでも、単なる調味料メーカーでもなく、農と食をつなぐ会社です。
一方で、課題も明確です。原材料高、トマトペースト市況、天候、為替、価格改定後の数量減、国際事業の利益変動、農業の担い手不足には注意が必要です。2025年12月期は売上収益2,942億円、事業利益226億円で、国際事業の減益が響きました。2028年には売上収益3,250億円、事業利益270億円を目指しますが、その達成には国内の利益率改善と国際事業の二次加工成長が欠かせません。
就活生にとって、カゴメは商品開発や営業だけでなく、農業、品種開発、原料調達、品質管理、海外事業、業務用提案、健康価値創出に関われる会社です。個人投資家にとっては、トマトケチャップや野菜生活100のブランド力だけでなく、国際事業の市況変動、事業利益率、キャッシュフロー、ROEを見ていくべき企業です。
カゴメは、トマトを日本の食卓に広げた会社です。次の課題は、その農から食への強みを、国内の健康需要だけでなく、海外のフードサービスや加工食品市場でも収益に変えられるかです。そこが、カゴメ 企業研究の最大のポイントになります。