すかいらーくホールディングスを一言でいうと

すかいらーくホールディングスを一言でいうと、「ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサン、夢庵、から好し、むさしの森珈琲などを展開し、日常外食の幅広い需要を拾うファミリーレストラン型の外食グループ」です。

すかいらーくという社名は、かつてのファミリーレストラン「すかいらーく」の印象を持つ人も多いかもしれません。しかし現在の主力ブランドは、ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサン、夢庵などです。ハンバーグ、洋食、中華、しゃぶしゃぶ、和食、カフェ、唐揚げ、とんかつなど、複数の業態を持っています。

同社の特徴は、単一ブランドで勝負する外食企業ではなく、同じグループの中に多様な食事シーンを持っていることです。ガストは日常使いの低価格ファミレス、バーミヤンは中華、しゃぶ葉は食べ放題・複数人利用、ジョナサンはやや上位のファミレス、夢庵は和食、むさしの森珈琲はカフェ需要を取り込みます。つまり、平日のランチ、家族の夕食、友人との食事、休日の外食、仕事や勉強でのカフェ利用まで、さまざまな外食需要に対応できる構造です。

投資家にとってのすかいらーくは、「国内最大級のファミレス店舗網を持つ外食企業」である一方、原材料高、人件費上昇、店舗固定費、消費者の節約志向、業態転換、海外展開が業績を左右する会社です。ファミレスは社会に身近な業態ですが、外食企業としての収益構造は簡単ではありません。食材、人件費、家賃、水道光熱費、物流、設備投資が重く、客数と客単価のバランスが利益に直結します。

就活生にとっては、すかいらーくは店舗運営だけの会社ではありません。商品開発、セントラルキッチン、物流、店舗オペレーション、配膳ロボット、タブレット注文、デリバリー、アプリ、業態転換、海外出店、店舗リモデルなど、外食チェーンの仕組みを広く学べる会社です。食を通じて、日常の生活インフラに近い事業に関わりたい人に向いた企業です。

なぜ今すかいらーくホールディングスを見るのか

今すかいらーくホールディングスを見る意味は、ファミリーレストラン業界が、コロナ禍後の回復局面を越えて、「インフレ下でどのように利益を出すか」を問われているからです。

外食産業は、コロナ禍で大きな打撃を受けました。店内飲食の制限、営業時間短縮、外出自粛により、ファミレスのような店舗型外食は大きく売上を落としました。その後、外出需要が戻り、家族や友人との外食も回復しました。すかいらーくも、既存店売上の回復、価格改定、メニュー戦略、店舗運営改善によって業績を立て直してきました。

しかし現在の課題は、単なる客数回復ではありません。原材料価格、人件費、物流費、水道光熱費が上がる中で、どのように利益を確保するかです。卵、鶏肉、牛肉、豚肉、米、油、野菜、乳製品、包装資材など、ファミレスのメニューに関わるコストは幅広く上がっています。外食企業は値上げを進めていますが、価格を上げすぎると客数が減ります。すかいらーくは、価格改定と商品価値向上を同時に進める必要があります。

すかいらーくが注目されるもう一つの理由は、店舗網の再構築です。ファミレスは、店舗数が多いほど売上規模を作れますが、不採算店舗が増えると固定費が重くなります。同じガストが近接している地域では、片方をしゃぶ葉など別業態へ転換することで、カニバリを減らし、商圏内の需要を取り直すことができます。業態転換と店舗リモデルは、同社の重要な成長戦略です。

2025年12月期のすかいらーくは、売上収益4,577億94百万円、営業利益299億57百万円、当期利益167億48百万円でした。2026年12月期第1四半期も、売上収益1,212億63百万円、営業利益89億10百万円と増収増益で進みました。2026年12月期通期では、売上収益4,900億円、営業利益335億円を見込んでいます。コスト上昇が続く中でも、既存店成長や原価低減、業態転換で利益を伸ばせるかが焦点です。

つまり、今のすかいらーくを見るポイントは、ファミレス需要が戻ったかどうかだけではありません。店舗中心経営、業態転換、メニュー固定化、省人化、デリバリー、海外展開を通じて、インフレ時代の外食企業としてどこまで収益性を高められるかを見ることが重要です。

成り立ち

すかいらーくの歴史は、日本のファミリーレストランの歴史そのものと深く関係しています。1970年代、日本では自動車社会の広がり、郊外住宅地の拡大、家族で外食する文化の広がりが進みました。その中で、駐車場を持ち、家族で入りやすく、洋食や和食を手頃に食べられるファミリーレストランが成長しました。

すかいらーくは、日本の外食産業において、ファミレス文化を広げた代表的な企業です。かつての「すかいらーく」店舗は、家族で外食する場所、子ども連れでも入りやすい場所、長時間過ごせる場所として定着しました。ファミレスは、単に食事をする場所ではなく、会話をする場所、勉強や仕事をする場所、友人と集まる場所にもなりました。

その後、同社は複数ブランド化を進めます。ガストは、より低価格で日常使いしやすいファミレスとして広がりました。バーミヤンは中華、ジョナサンは都市部やや上位のファミレス、夢庵は和食、藍屋は和食レストラン、しゃぶ葉は食べ放題のしゃぶしゃぶ業態、から好しは唐揚げ専門業態として展開しました。ファミレス一業態だけではなく、食事シーンごとにブランドを分けることで、顧客層を広げました。

一方で、ファミレス業界は長く厳しい競争にもさらされてきました。コンビニ、牛丼、回転寿司、ファストフード、カフェ、専門店、デリバリー、スーパー惣菜など、消費者の食事の選択肢は増えました。ファミレスは「何でも食べられる便利な場所」である一方、「専門性が弱い」と見られることもあります。このため、すかいらーくはブランドごとの役割を明確にし、業態転換やリモデルを進める必要がありました。

また、すかいらーくはセントラルキッチン、物流、店舗オペレーションを整備してきました。多店舗チェーンでは、各店舗で一から調理すると品質とコストが安定しません。中央で加工・準備し、店舗で効率よく仕上げる仕組みが必要です。こうした外食チェーンの裏側を作ってきたことが、すかいらーくの事業基盤です。

すかいらーくの成り立ちは、日本のファミレス文化を作り、複数ブランドへ広げ、現在は店舗網の再構築とデジタル化で再成長を目指す歴史だといえます。

事業内容

すかいらーくホールディングスの事業は、国内レストラン事業を中心に、デリバリー・テイクアウト、海外事業、食品製造・物流機能が組み合わさっています。

主力ブランドはガストです。ガストは、ハンバーグ、チキン、パスタ、ピザ、定食、デザート、ドリンクバーなどを提供する日常型ファミレスです。価格帯が比較的手頃で、家族、学生、会社員、一人客まで幅広い客層に対応します。すかいらーくグループの中でも、店舗数と知名度の面で中心的な存在です。

バーミヤンは中華レストランです。ラーメン、餃子、チャーハン、麻婆豆腐、酢豚、点心などを提供します。中華料理は、複数人で分けやすく、家族利用や飲食需要に合います。専門中華ほど高価格ではなく、日常的に使える中華ファミレスという位置づけです。

しゃぶ葉は、しゃぶしゃぶ食べ放題の業態です。ガストとは異なり、複数人利用、休日、食べ放題、ファミリー・学生グループ需要に強いブランドです。既存のガストなどから業態転換することで、同じ商圏の中で異なる需要を取り込めます。すかいらーくの再成長戦略では、しゃぶ葉への転換が重要な役割を持っています。

ジョナサンは、ガストよりやや上位のファミリーレストランです。都市部や住宅地で、落ち着いた食事やカフェ利用に対応します。夢庵は和食、藍屋も和食レストラン、むさしの森珈琲はカフェ、から好しは唐揚げ、とんから亭はとんかつ・唐揚げ、chawanは和カフェ・定食系です。複数ブランドを持つことで、立地や客層に応じて最適な業態を選べます。

デリバリーとテイクアウトも重要です。ファミレスは店内飲食が中心ですが、コロナ禍以降、持ち帰りや宅配需要も定着しました。ガストの弁当、唐揚げ、ピザ、ファミリー向けセットなどは、家庭内食需要と競合しながらも、外食チェーンの調理力を活かせる領域です。ただし、デリバリーは手数料や配送コストが重く、利益率を慎重に見る必要があります。

海外事業では、台湾、マレーシア、米国などでの展開があります。国内ほど大きな比重ではありませんが、今後の成長余地として注目されています。中期計画では、海外出店の拡大も掲げられています。

収益構造

すかいらーくホールディングスの収益構造は、店舗数、既存店売上、客数、客単価、原価率、人件費率、店舗固定費によって決まります。

外食企業の利益は、非常にシンプルに見えて複雑です。来店客が食事をし、売上が発生します。その売上から、食材原価、人件費、家賃、光熱費、減価償却費、物流費、広告宣伝費、システム費用を差し引いたものが利益になります。ファミレスは店舗面積が広く、営業時間も長いため、固定費が重い業態です。客数が落ちると利益が大きく減り、客数が増えると固定費を吸収しやすくなります。

2025年12月期のすかいらーくは、売上収益4,577億94百万円、営業利益299億57百万円でした。営業利益率は6.5%です。コロナ禍で苦しんだ時期を経て、売上回復と価格改定、店舗運営改善により利益率は改善しています。ただし、原材料費と人件費の上昇が続くため、営業利益率をさらに高めるには、既存店成長と生産性向上が必要です。

2026年12月期第1四半期は、売上収益1,212億63百万円、営業利益89億10百万円でした。既存店売上高は前年同期比106%となり、客数・客単価ともに伸びました。通期予想では、売上収益4,900億円、営業利益335億円を見込んでいます。これは、ファミレス需要の回復だけでなく、店舗運営改革、業態転換、原価低減策が前提になっています。

すかいらーくの収益で重要なのは、既存店売上です。新規出店で売上を増やすこともできますが、既存店が伸びなければ、全体の利益は伸びにくくなります。既存店売上は、客数と客単価に分けて見る必要があります。価格改定で客単価が上がっても、客数が落ちれば長期的には不安が残ります。逆に、客数を維持しながら客単価を上げられれば、利益率改善につながります。

原価率も重要です。すかいらーくは、洋食、中華、和食、しゃぶしゃぶ、カフェなど多様なメニューを持つため、卵、鶏肉、豚肉、牛肉、野菜、米、乳製品、油など幅広い食材価格の影響を受けます。グループの垂直統合サプライチェーンを活かして、仕入れ、加工、物流を効率化できるかが利益に直結します。

人件費率も見逃せません。ファミレスは接客と調理に人手が必要です。最低賃金上昇や採用難は、長期的なコスト増要因です。すかいらーくは、タブレット注文、配膳ロボット、セルフレジ、メニュー固定化、店舗作業改善などで生産性向上を進めています。

事業内容の特徴

すかいらーくホールディングスの事業内容の特徴は、「多ブランドのファミレス店舗網を、セントラルキッチンと店舗オペレーションで支えていること」です。

ファミレスは、家庭料理、専門店、ファストフード、カフェ、居酒屋の中間にある業態です。家族で入りやすく、メニューが幅広く、価格も比較的手頃で、長時間滞在もできます。この柔軟性が強みですが、同時に専門性が弱くなりやすいという課題もあります。すかいらーくは、ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、夢庵などブランドを分けることで、幅広さと専門性のバランスを取っています。

また、すかいらーくは店舗網の再構築を進めています。同じ商圏に似た業態が多いと、グループ内で客を奪い合う可能性があります。そこで、ガストをしゃぶ葉へ転換する、店舗をリモデルする、メニューや価格帯を見直すといった施策が重要になります。単に店舗数を増やすのではなく、既存店舗の立地価値を最大化する発想です。

セントラルキッチンと物流も特徴です。多店舗外食では、店舗ごとに調理品質がばらつくとブランド価値が下がります。すかいらーくは、食材調達、加工、物流をグループで管理し、店舗では効率よく調理・提供できる体制を作っています。これにより、品質の安定とコスト管理を両立しようとしています。

さらに、デジタルと省人化の導入が進んでいます。タブレット注文、配膳ロボット、セルフレジ、アプリクーポン、デリバリー管理、店舗PC自動処理などは、ファミレス運営の人手不足対策です。ファミレスは人の接客が価値になる一方、注文や会計、配膳の一部を効率化することで、従業員をサービスや清掃、回転率向上に振り向けられます。

このように、すかいらくの事業は、店舗で料理を出すだけではありません。ブランド、立地、厨房、物流、IT、人材、メニュー、価格を組み合わせて、日常外食の需要を取り込む仕組みです。

競合他社との違い

すかいらーくホールディングスの競合は、ゼンショーホールディングス、サイゼリヤ、ロイヤルホールディングス、ジョイフル、日本マクドナルド、吉野家、松屋、回転寿司チェーン、カフェチェーン、コンビニ、スーパー惣菜、デリバリー専業などです。

ゼンショーホールディングスとの違いは、ファミレス中心か、多業態外食中心かです。ゼンショーは、すき家、はま寿司、ココス、なか卯、ジョリーパスタ、ロッテリアなどを持ち、牛丼と回転寿司が非常に大きな柱です。すかいらーくは、ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサン、夢庵など、ファミレス・レストラン業態に強い会社です。ゼンショーは低価格高回転と寿司、すかいらーくは家族・グループ・日常レストラン利用に強いと見ると分かりやすいです。

サイゼリヤとの違いは、単一業態の低価格イタリアンか、多ブランドファミレスかです。サイゼリヤは、イタリアンを低価格で提供し、メニューを絞り込み、店舗オペレーションを徹底的に効率化する会社です。すかいらーくは、ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉など複数業態を展開します。サイゼリヤはメニューと業態の絞り込み、すかいらーくはブランドポートフォリオの広さが特徴です。

日本マクドナルドとの違いは、ファストフードかファミレスかです。マクドナルドは、短時間利用、ドライブスルー、モバイルオーダー、テイクアウトに強い会社です。すかいらーくは、店内で座って食事をする需要、家族やグループでの利用、ドリンクバーやデザートを含む滞在型の需要に強みがあります。回転率と滞在価値の違いがあります。

ロイヤルホールディングスとの違いは、価格帯とブランド構成です。ロイヤルホストは品質や接客、やや高価格帯のファミレスとして評価されています。すかいらーくのガストは、より日常使い・価格訴求寄りです。すかいらーくは多店舗・多ブランドで幅広い価格帯を持つ一方、ロイヤルはブランド品質の高さで差別化します。

コンビニやスーパー惣菜も重要な競合です。外食をしなくても、コンビニ弁当、冷凍食品、スーパー惣菜、宅配食で食事はできます。すかいらーくが選ばれるには、家庭では作りにくいメニュー、店内で過ごす価値、家族で食事する場、クーポンやアプリによるお得感を提供する必要があります。

事業の現代での潮流

すかいらーくホールディングスを取り巻く潮流は、外食需要回復、インフレ、人手不足、省人化、消費二極化、デリバリー・テイクアウト、海外展開です。

外食需要は回復しています。人と会う機会、家族での外出、仕事後の食事、休日の外食が戻ることで、ファミレス需要も改善しました。一方で、消費者は物価高の中で外食回数や予算を調整しています。安く済ませたい需要と、少し良い外食体験をしたい需要が分かれる、消費二極化が進んでいます。

インフレは大きな課題です。卵や鶏肉などの価格上昇、飼料価格、物流費、電気代、人件費上昇が、外食企業のコストを押し上げています。すかいらーくは、メニュー価格の適正化、フェアメニュー、小皿料理、トッピング、コラボメニューなどで売上を伸ばしつつ、原価低減策で利益を守る必要があります。

人手不足と省人化も重要です。すかいらーくは、タブレット注文、配膳ロボット、セルフレジなどを導入し、店舗作業の効率化を進めています。ただし、ファミレスでは接客の印象も大切です。省人化で人を減らすだけでなく、従業員がより良いサービスに集中できるようにすることが重要です。

デリバリーとテイクアウトは、コロナ禍で広がり、その後も一定の需要が残りました。すかいらーくは、ガストなどで宅配・持ち帰りを展開しています。店内飲食と宅配を組み合わせることで売上機会を増やせますが、宅配手数料や配送コストが利益率を下げる面もあります。店内価格との整合性も重要です。

海外展開も中期的なテーマです。国内市場は人口減少と人手不足が進むため、長期的には海外出店が成長余地になります。中期計画では、海外店舗の拡大も掲げています。ただし、ファミレス業態を海外で成功させるには、現地の食文化、価格帯、立地、労働環境に合わせる必要があります。

強み

すかいらーくホールディングスの強みは、第一に多ブランドの店舗網です。ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサン、夢庵、むさしの森珈琲など、異なる食事シーンを押さえるブランドを持っています。単一ブランドの不調を、別ブランドで補える点は大きな強みです。

第二に、日常外食での認知度です。ガストやバーミヤンは、家族で入りやすい、価格が分かりやすい、全国にあるという安心感があります。外食では、知らない店に入る不安がありますが、チェーンブランドの認知は来店ハードルを下げます。

第三に、店舗網の再構築余地です。既存の立地を活かしながら、業態転換やリモデルを進められる点は強みです。新しく土地を探して出店するより、既存店をしゃぶ葉など成長業態へ転換する方が、投資効率が高い場合があります。

第四に、垂直統合サプライチェーンです。食材調達、加工、物流、店舗提供までをグループで管理することで、品質とコストをコントロールしやすくなります。多ブランドに共通する食材や物流を効率化できる点も重要です。

第五に、省人化・デジタル化の導入力です。配膳ロボットやタブレット注文を大規模に導入できるのは、多店舗チェーンならではです。個人店では難しい投資も、すかいらーくの規模なら全店展開しやすい。人手不足の時代には、大きな強みになります。

弱み・リスク

すかいらーくホールディングスのリスクでまず挙げられるのは、原材料費の上昇です。ファミレスはメニューの幅が広いため、卵、肉、魚、野菜、米、油、乳製品など多くの食材価格の影響を受けます。特定食材だけでなく、複数の食材が同時に上がると、原価率の管理が難しくなります。

第二に、人件費上昇です。ファミレスは接客と調理に人手が必要です。最低賃金上昇、採用難、離職防止のための待遇改善は、販管費を押し上げます。省人化を進めても、完全に人手をなくすことはできません。

第三に、店舗固定費です。ファミレスは店舗面積が広く、家賃、光熱費、設備維持費が重くなりやすい業態です。客数が落ちると固定費を吸収できず、利益が急に悪化する可能性があります。不採算店舗の見直しや業態転換が重要です。

第四に、ファミレス業態の成熟です。ファミレスは日本で広く定着していますが、外食の選択肢は増えています。専門店、ファストフード、回転寿司、カフェ、コンビニ、スーパー惣菜、デリバリーと競争しています。ファミレスならではの価値を出し続けなければ、来店頻度が下がる可能性があります。

第五に、価格改定の限界です。原価と人件費が上がっても、無制限に値上げできるわけではありません。ファミレスは価格に敏感な顧客も多く、値上げによって客数が落ちるリスクがあります。価格と価値のバランスが重要です。

数字で見るすかいらーくホールディングス

すかいらーくホールディングスを見るうえで、まず確認したいのは売上収益、営業利益、営業利益率です。2025年12月期の売上収益は4,577億94百万円、営業利益は299億57百万円、当期利益は167億48百万円でした。営業利益率は6.5%です。

この数字から分かるのは、同社がコロナ禍後の回復局面を越え、利益を出せる体制へ戻ってきていることです。2022年12月期には営業赤字でしたが、2023年、2024年、2025年と売上収益・営業利益は改善しました。外食需要の回復だけでなく、価格改定、店舗運営改善、業態転換が効いています。

2026年12月期第1四半期では、売上収益1,212億63百万円、事業利益90億89百万円、営業利益89億10百万円、当期利益55億円でした。売上収益は前年同期比8.6%増、営業利益は17.0%増です。既存店売上高は前年同期比106%となり、客数と客単価の両方が伸びました。

2026年12月期通期予想では、売上収益4,900億円、事業利益360億円、営業利益335億円、親会社の所有者に帰属する当期利益195億円を見込んでいます。年間配当は26円予想です。売上収益は5,000億円に近づき、営業利益率も改善傾向にあります。

キャッシュフローも重要です。2025年12月期の営業活動によるキャッシュフローは744億95百万円、投資活動によるキャッシュフローはマイナス340億51百万円、フリーキャッシュフローは404億44百万円でした。外食企業は出店・改装・厨房機器・システム投資が必要なため、利益だけでなく、投資後にどれだけ現金を残せるかを見る必要があります。

投資家が見るべき指標は、売上収益、営業利益率、既存店売上、客数、客単価、原価率、人件費率、店舗数、業態転換数、営業キャッシュフロー、設備投資、配当です。すかいらーくは、売上規模だけでなく、店舗網をどれだけ効率よく利益化できているかを見る会社です。

今後の注目ポイント

今後の注目ポイントは、まず既存店成長です。すかいらーくの店舗数は多いため、新規出店よりも既存店の売上と利益を高めることが重要です。客数を維持しながら、客単価を上げ、回転率を改善できるかが焦点になります。

第二に、業態転換です。ガストからしゃぶ葉への転換のように、同じ立地でも業態を変えることで収益性が改善する可能性があります。どの店舗を残し、どの店舗を転換し、どのブランドを強化するかが、店舗網再構築の中心です。

第三に、メニュー戦略です。ファミレスは幅広いメニューを持つことが強みですが、メニューが多すぎると調理が複雑になり、人件費や提供時間に影響します。グランドメニューの固定化や、シーズナルメニュー、コラボメニュー、小皿料理、トッピングをどう組み合わせるかが重要です。

第四に、省人化です。タブレット注文、配膳ロボット、セルフレジ、店舗処理の自動化は、人手不足と人件費上昇への対応です。ただし、ファミレスは接客の印象も大切です。効率化で浮いた人員を、清掃、接客、提供品質向上に回せるかが重要です。

第五に、デリバリー・テイクアウトです。店内飲食に加え、持ち帰りや宅配をどこまで利益ある形で伸ばせるかが注目点です。宅配は売上を増やせますが、手数料が高いため、利益率には注意が必要です。

第六に、海外展開です。国内市場だけでは長期成長に限界があります。海外出店を進める場合、どのブランドをどの地域で展開するのか、現地の価格帯や食文化に合うのかが重要になります。海外は成長機会である一方、投資リスクもあります。

投資対象として

投資対象としてのすかいらーくホールディングスは、「国内最大級のファミレス店舗網」と「店舗網再構築による利益改善余地」を持つ会社です。

魅力は、ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉など、生活者に認知されたブランドを複数持つことです。単一ブランドに依存せず、洋食、中華、しゃぶしゃぶ、和食、カフェなど、さまざまな食事需要を取り込めます。外食需要が回復する局面では、店舗網の広さが強みになります。

また、業態転換とリモデルによる成長余地も魅力です。新規出店だけに頼らず、既存の立地を活かして、より収益性の高いブランドへ転換できる点は、同社ならではです。しゃぶ葉のような成長業態をどこまで伸ばせるかは、今後の評価に関わります。

一方で、注意点もあります。外食は、原材料費と人件費の影響を強く受けます。価格改定がうまくいかなければ利益率は下がり、値上げしすぎれば客数が減ります。ファミレス業態は成熟しており、コンビニ、スーパー惣菜、専門店、ファストフード、回転寿司との競争も激しいです。

株価を見る際には、PERやPBRだけでなく、営業利益率、既存店売上、客数、客単価、原価率、人件費率、業態転換の成果、しゃぶ葉の成長、営業キャッシュフロー、設備投資、配当、株主優待を確認したいところです。すかいらーくは優待人気もありますが、投資対象としては、優待だけでなく本業の利益改善を見なければなりません。

就活生にとっては、すかいらーくは店舗運営を学べるだけでなく、外食チェーンの仕組み全体を学べる会社です。商品開発、食材調達、物流、店舗IT、配膳ロボット、業態転換、海外事業、人材教育など、外食産業の幅広い仕事に関われます。食に近い現場で、仕組みづくりにも関わりたい人に向いています。

まとめ

すかいらーくホールディングスは、ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサン、夢庵、むさしの森珈琲などを展開する、国内最大級のファミリーレストラン型外食グループです。日本のファミレス文化を作ってきた会社であり、現在は多ブランド店舗網の再構築と省人化で収益改善を進めています。

同社の強みは、多ブランドの店舗網、日常外食での認知度、既存店の業態転換余地、垂直統合サプライチェーン、省人化・デジタル化の導入力です。ガストだけでなく、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサン、夢庵などを持つことで、幅広い食事需要に対応できます。

一方で、リスクもあります。原材料費上昇、人件費上昇、店舗固定費、ファミレス業態の成熟、価格改定の限界です。ファミレスは身近な業態ですが、利益を出すには、客数、客単価、原価、人件費、店舗効率を細かく管理する必要があります。

個人投資家にとっては、すかいらーくホールディングスは「外食需要回復と店舗網再構築で利益改善を狙う会社」です。就活生にとっては、店舗運営から商品開発、物流、省人化、業態転換まで、外食チェーンの仕組みを広く学べる会社です。すかいらーくホールディングスの企業研究では、「ガストの会社」という表面的な理解にとどまらず、「複数のファミレス業態と店舗網を再構築し、日常外食を支える外食グループ」として見ることが大切です。