森永製菓を一言でいうと

森永製菓を一言でいうと、「チョコレート、ビスケット、キャラメル、冷菓、ゼリー飲料、通販健康食品、米国HI-CHEWを展開する、菓子とウェルネスを併せ持つ食品メーカー」です。

森永製菓と聞くと、多くの人は「ミルクキャラメル」「森永ビスケット」「チョコボール」「ダース」「ハイチュウ」「おっとっと」「チョコモナカジャンボ」「inゼリー」などを思い浮かべるはずです。子どもの頃に食べたお菓子から、仕事や運動の合間に飲むゼリー飲料、夏場に買うアイスまで、生活の中に入り込んだ商品が多い会社です。

ただし、森永製菓を単なる「お菓子の会社」と見るだけでは、現在の姿を十分に理解できません。現在の森永製菓は、菓子食品事業を安定的な基盤としながら、in事業、冷菓事業、通販事業、米国事業を重点領域として成長させようとしている会社です。つまり、昔ながらの菓子ブランドだけでなく、「健康」「栄養補給」「アイス」「海外成長」を組み合わせて、事業ポートフォリオを変えようとしています。

特に重要なのが、inゼリーとチョコモナカジャンボ、そして米国のHI-CHEWです。inゼリーは、忙しい人が短時間で栄養補給できる商品として、学生、会社員、スポーツをする人、体調管理を意識する人に広がりました。チョコモナカジャンボは、冷菓でありながら菓子メーカーらしいチョコとモナカの技術を活かした商品です。HI-CHEWは、日本発のソフトキャンディが米国市場で広がっている事例であり、森永製菓の海外成長を考えるうえで欠かせません。

投資家にとっては、森永製菓は「菓子食品で安定的に稼ぎ、重点領域で成長を狙う会社」と見ると分かりやすいです。就活生にとっては、商品開発、マーケティング、研究、生産技術、品質保証、健康食品、冷菓、通販、海外事業まで関われる食品メーカーです。

なぜ今森永製菓を見るのか

今、森永製菓を見る意味は、食品業界の中で「菓子の楽しさ」と「健康・栄養価値」をどう両立するかが重要になっているからです。

菓子市場は、人口減少や少子化の影響を受けます。子どもの数が減れば、昔ながらの子ども向け菓子だけで大きく成長するのは難しくなります。また、健康志向が強まり、砂糖やカロリーを気にする人も増えています。チョコレート、キャンディ、ビスケットといった菓子は、生活を楽しくする一方で、食べ過ぎへの意識も高まりやすい商品です。

一方で、菓子や間食が不要になるわけではありません。仕事中の気分転換、勉強中の糖分補給、運動後の栄養補給、家族との時間、自分へのご褒美、季節限定商品を楽しむ消費は残ります。重要なのは、単に甘いものを売るのではなく、食べる理由を明確にすることです。森永製菓は、楽しさを提供する菓子食品事業に加え、inゼリーや通販健康食品で、健康・栄養価値を提供する方向へ広がっています。

また、原材料価格の上昇も大きなテーマです。カカオ、砂糖、乳原料、油脂、小麦、包材、エネルギー、物流費が上がれば、菓子メーカーの利益は圧迫されます。森永製菓は2026年3月期に売上高2,366億円、営業利益223億円となり、売上高・営業利益とも過去最高を更新しました。価格改定や菓子食品事業の収益性改善、冷菓事業の成長が寄与しましたが、今後もコスト上昇をどこまで吸収できるかが重要です。

さらに、海外展開も注目点です。国内市場だけでは成長に限界がありますが、HI-CHEWは米国で存在感を高めています。米国市場は広く、菓子の消費文化も大きい一方で、競争も激しい市場です。HI-CHEWをフラッグシップとして、米国事業をどこまで伸ばせるかは、森永製菓の長期成長を左右します。

つまり森永製菓を見るときは、「昔からある菓子メーカー」として見るのではなく、「菓子の安定収益を土台に、健康・冷菓・通販・海外へ成長軸を広げている会社」として見る必要があります。

成り立ち

森永製菓の歴史は、1899年に森永太一郎が創業した森永西洋菓子製造所から始まります。日本にまだ西洋菓子が一般的ではなかった時代に、キャラメルやビスケット、チョコレートなどを広げ、日本の菓子文化を作ってきた会社です。

森永ミルクキャラメルは、同社の歴史を象徴する商品です。携帯しやすく、甘く、栄養補給にもなるキャラメルは、長く日本人に親しまれてきました。森永製菓は、ただ商品を作っただけでなく、広告やパッケージ、販売網を通じて、菓子を日常の楽しみにしていきました。

その後、森永ビスケット、チョコボール、エンゼルパイ、ダース、おっとっと、ハイチュウなど、菓子の定番ブランドを数多く育ててきました。森永製菓の商品には、単に味がよいだけでなく、キャラクター、遊び心、食感、パッケージ、食べる場面が記憶に残るものが多いです。キョロちゃんや「おもちゃのカンヅメ」のように、商品と体験が結びついたブランドもあります。

冷菓では、チョコモナカジャンボが非常に重要です。アイス市場には、明治、ロッテ、江崎グリコ、赤城乳業、ハーゲンダッツなど強い競合がいます。その中でチョコモナカジャンボは、モナカのパリッとした食感、チョコの存在感、手頃な価格、大きさによって、冷菓市場の代表的商品になりました。菓子メーカーとしてのチョコや食感設計の強みを、冷菓に活かした商品です。

1980年代以降には、ゼリー飲料「inゼリー」が成長しました。これは森永製菓の事業を、菓子から健康・栄養補給へ広げた大きな商品です。忙しい朝、運動前後、受験勉強、仕事中、体調が悪い時など、固形の菓子とは違う場面で使われます。森永製菓が菓子の会社からウェルネス領域へ広がるきっかけの一つです。

近年では、米国でHI-CHEWの展開が進み、海外事業が成長テーマになっています。日本で生まれたソフトキャンディを、米国の味覚や販売チャネルに合わせて広げることは、森永製菓の今後を考えるうえで重要です。

事業内容

森永製菓の事業は、大きく見ると食料品製造、食料卸売、不動産及びサービスに分けられます。ただし、企業研究としては、食料品製造の中身を、菓子食品事業、冷菓事業、in事業、通販事業、米国事業、事業子会社等に分けて理解する方が分かりやすいです。

菓子食品事業は、森永製菓の基盤です。チョコボール、ダース、森永ビスケット、エンゼルパイ、おっとっと、ハイチュウ、ミルクキャラメル、ホットケーキミックス、ココアなど、長く売られている商品が多く含まれます。菓子食品事業は、同社の売上規模の中で大きな比率を占め、安定的なキャッシュ創出源として位置づけられています。

冷菓事業では、チョコモナカジャンボ、バニラモナカジャンボ、パリパリバー、板チョコアイス、アイスボックスなどがあります。冷菓は、気温や季節の影響を強く受けますが、強い定番商品を持てば大きな収益源になります。特にチョコモナカジャンボは、冷菓事業の中核商品です。

in事業では、inゼリーを中心に、inブランドの展開を進めています。エネルギー、マルチビタミン、プロテイン、ブドウ糖など、用途別の商品があります。ゼリー飲料は、菓子とも飲料とも違う領域です。コンビニ、ドラッグストア、スーパー、スポーツ用品店、学校・職場など、販売チャネルも広く、健康・栄養補給のニーズと結びつきます。

通販事業では、「おいしいコラーゲンドリンク」などの健康・美容系商品を直接顧客に届けています。菓子のように店頭で広く売る商品とは違い、定期購入やリピート購入、顧客データの活用が重要になります。通販事業は、機能性と顧客接点を組み合わせた事業です。

米国事業では、HI-CHEWが中核です。日本のハイチュウを米国向けに展開し、フルーツの味わいや独特の食感を訴求しています。米国では菓子市場が大きく、流通も広い一方で、競合も多いです。米国第2工場の建設など、生産能力増強も進めています。

事業子会社等には、国内外の関連食品事業が含まれます。森永製菓単体のブランドだけでなく、グループ全体で食品事業を展開している点も押さえる必要があります。

収益構造

森永製菓の収益構造は、菓子食品事業を基盤に、冷菓、in、通販、米国を重点領域として伸ばす形です。

2026年3月期の売上高は2,366億円、営業利益は223億円、経常利益は226億円、親会社株主に帰属する当期純利益は177億円でした。売上高は5期連続で過去最高、営業利益は2期連続で過去最高となりました。営業利益率は約9%台で、食品メーカーとしては一定の収益性を持っています。

売上の中心は食料品製造です。2026年3月期の食料品製造の売上高は2,251億円でした。その内訳を見ると、菓子食品事業は889億円、冷菓事業は535億円、in事業は299億円、通販事業は107億円、事業子会社等は112億円でした。国内計は1,944億円です。菓子食品事業が最大の売上基盤であり、冷菓とin事業が次の柱になっています。

菓子食品事業は、安定的に売上と利益を作る基盤です。チョコレート、ビスケット、キャンディ、スナック、食品など、幅広い商品を持つため、単一商品に依存しにくい構造です。一方で、カカオ、砂糖、油脂、小麦、乳原料、包材などの原材料価格に影響されます。価格改定を進めても、消費者が買い控えれば数量に影響します。

冷菓事業は、チョコモナカジャンボを中心に収益性の高い事業として重要です。冷菓は夏場に売上が集中しやすく、気温の影響を受けます。ただし、チョコモナカジャンボのような強い定番商品は、季節を超えて安定的に売りやすい。冷凍下での菓子技術を活かせる点も、森永製菓らしい特徴です。

in事業は、健康・栄養補給の成長領域です。売上高は2026年3月期に299億円で、前年からは減少しました。これは、ゼリー飲料市場や販売施策の影響を受けやすいことを示しています。inゼリーは強いブランドですが、健康食品・栄養補給市場では競合も多く、用途拡大とブランド刷新が必要です。

米国事業は、中長期成長の重要な柱です。HI-CHEWは米国で成長を続けており、海外売上高比率を高める中心商品です。米国第2工場への投資は、将来の供給能力拡大と現地生産強化につながりますが、投資負担や立ち上げリスクもあります。

事業内容の特徴

森永製菓の事業内容の特徴は、「おいしさ」「楽しさ」「健康」を、商品ごとに違う形で表現していることです。

菓子食品では、楽しさが重要です。チョコボールのキョロちゃん、ハイチュウの食感、ダースの食べやすい粒形、森永ビスケットの定番感、おっとっとの形の面白さ。菓子は栄養だけで選ばれる商品ではありません。気分転換、遊び、思い出、季節感、限定感が購買につながります。森永製菓は、長年にわたりこの情緒価値を作ってきました。

冷菓では、食感が重要です。チョコモナカジャンボは、チョコの板状の存在感とモナカのパリッとした食感が価値になっています。アイスは味だけでなく、食感、溶け方、手軽さ、サイズ感、価格が重要です。森永製菓は、菓子で培ったチョコや食感設計を冷菓に活かしています。

in事業では、機能性と手軽さが重要です。inゼリーは、空腹を満たすだけでなく、エネルギー補給、ビタミン補給、たんぱく質補給など、目的に合わせて選ばれます。食品というより、生活の中の課題解決型商品です。勉強、仕事、スポーツ、体調管理という場面に入り込める点が、通常の菓子と違います。

通販事業では、顧客との継続的な関係が重要です。店頭販売では、消費者がその場で商品を選びます。通販では、商品を継続購入してもらうために、機能実感、価格、顧客対応、ブランド信頼が重要になります。おいしいコラーゲンドリンクのような商品は、美容や健康を意識する顧客に対して、長期的な接点を作る商品です。

米国事業では、日本発の商品を現地化する力が問われます。HI-CHEWは、日本のハイチュウの技術と食感をベースにしながら、米国の消費者に合うフレーバーや販売チャネルで展開しています。日本の商品をそのまま輸出するだけではなく、現地市場に合わせて育てることが重要です。

競合他社との違い

森永製菓の競合は、菓子では明治ホールディングス、ロッテ、江崎グリコ、不二家、ブルボン、亀田製菓などです。冷菓では、ロッテ、明治、江崎グリコ、赤城乳業、ハーゲンダッツなどが競合します。健康食品・ゼリー飲料では、味の素、アサヒグループ食品、大塚製薬、明治、キリン、サントリー系の健康食品とも競合します。

明治との違いは、乳製品と医薬品の有無です。明治ホールディングスは、乳製品、チョコレート、栄養食品、医薬品を持つ会社です。森永製菓は、同じ菓子メーカーでありながら、乳業や医薬品を本格的な柱として持つわけではありません。その代わり、チョコモナカジャンボ、inゼリー、HI-CHEW、通販健康食品といった重点領域で差別化しています。

ロッテとの違いは、冷菓と菓子の組み合わせにあります。ロッテはチョコレート、ガム、アイスで強いブランドを持ち、雪見だいふく、爽、クーリッシュ、ガーナなどが有名です。森永製菓は、チョコモナカジャンボという非常に強い冷菓ブランドを持ち、さらにinゼリーや通販事業へ広げている点が違います。

江崎グリコとの違いは、栄養・健康領域の出方です。グリコはポッキー、プリッツ、アーモンド効果、SUNAO、ビスコ、乳業商品などを持ちます。森永製菓は、inゼリーを中心に栄養補給の場面を押さえ、通販健康食品でも顧客接点を持つ点が特徴です。

カルビーとの比較では、カルビーはポテトチップスやじゃがりこなどスナック菓子に強く、農産物調達と加工に強みがあります。森永製菓はチョコレート、ビスケット、キャンディ、冷菓、ゼリー飲料に強みがあります。どちらも間食市場で競合しますが、カルビーは塩味スナック、森永製菓は甘味・冷菓・栄養補給の比重が高いと見ると分かりやすいです。

日清食品ホールディングスとの比較では、日清食品は即席麺と簡便食が中心です。森永製菓は菓子・冷菓・ゼリー飲料が中心です。どちらも強いブランドと商品開発力を持ちますが、日清食品は食事に近く、森永製菓は間食・栄養補給・冷菓に近い領域です。

事業の現代での潮流

森永製菓を取り巻く潮流は、原材料高、健康志向、少子化、冷菓市場の拡大、海外成長、D2C・通販の重要性です。

原材料高は大きな課題です。カカオ、砂糖、油脂、小麦、乳原料、包材、エネルギー、物流費が上がると、菓子や冷菓の利益率は圧迫されます。チョコレートやビスケットは原料価格の影響を受けやすく、冷菓では乳原料やチョコ、包材、冷凍物流のコストも重くなります。価格改定を行っても、消費者が節約志向を強めれば数量が落ちる可能性があります。

健康志向は、菓子メーカーにとって逆風であり、成長機会でもあります。砂糖やカロリーを控える人が増えれば、従来型の菓子には逆風です。一方で、inゼリー、プロテイン、コラーゲン、美容・健康食品、栄養補給商品には追い風になります。森永製菓は、菓子の楽しさと健康価値を同じ会社内で扱える点が特徴です。

少子化も影響します。子ども向け菓子だけに依存していると、市場の成長は難しくなります。大人向け菓子、健康系商品、冷菓、海外展開、通販によって、年齢層や利用シーンを広げる必要があります。ハイチュウやチョコボールのような商品も、子どもだけでなく大人にも選ばれるブランドへ進化できるかが重要です。

冷菓市場では、暑い夏や家庭内消費、コンビニアイス需要が追い風になります。ただし、冷菓は天候に左右されやすく、冷凍物流や店舗の冷凍ケースに依存する事業です。チョコモナカジャンボのような定番商品を持つことは大きな強みですが、夏場の気温、競合の新商品、価格改定の影響を受けます。

海外成長では、HI-CHEWが最重要です。米国市場でブランドを拡大し、現地生産体制を整えることができれば、国内市場の成熟を補う成長源になります。ただし、米国菓子市場は巨大企業やローカルブランドが強く、販促費や販売チャネル開拓も必要です。

D2C・通販も重要です。通販事業は、店頭販売とは違い、顧客データ、継続購入、機能実感、顧客対応が重要です。美容・健康食品はリピートされれば安定収益につながりますが、広告費や競合も多い領域です。

強み

森永製菓の強みは、第一に長く愛される菓子ブランドです。ミルクキャラメル、チョコボール、森永ビスケット、ダース、ハイチュウ、おっとっとなど、世代を超えて認知されている商品があります。食品メーカーにとって、長寿ブランドは大きな資産です。新商品を出してもすぐ消える市場で、長く売れ続けるブランドを持つことは簡単ではありません。

第二に、冷菓の強さです。チョコモナカジャンボは、冷菓市場の中でも非常に強い定番商品です。モナカ、チョコ、アイスの組み合わせを、食感と価格で分かりやすく価値化している点が優れています。菓子技術を冷菓に応用していることも、森永製菓らしい強みです。

第三に、inゼリーによる健康・栄養補給領域です。inゼリーは、単なる菓子ではなく、忙しい人やスポーツをする人、体調管理を意識する人に使われる商品です。用途が明確で、コンビニやドラッグストアとの相性もよい。森永製菓がウェルネス領域へ広がるうえで重要なブランドです。

第四に、米国HI-CHEWの成長です。日本発のソフトキャンディが米国市場で広がっていることは、森永製菓の海外展開の象徴です。米国第2工場への投資により、供給能力を高めることで、さらなる成長を狙っています。

第五に、事業ポートフォリオの転換意識です。菓子食品事業を基盤領域とし、in、冷菓、通販、米国を重点領域に位置づけることで、成長性と収益性を高めようとしています。昔ながらの菓子メーカーにとどまらず、健康と海外を取り込もうとしている点が強みです。

弱み・リスク

森永製菓のリスクでまず挙げられるのは、原材料価格です。カカオ、砂糖、油脂、小麦、乳原料、包材、エネルギー、物流費が上がれば、菓子や冷菓の利益は圧迫されます。価格改定で吸収できるかが重要ですが、菓子は嗜好品であるため、値上げが続けば購入頻度が減る可能性があります。

第二に、菓子市場の成熟と少子化です。子ども向け菓子だけでは成長しにくくなっています。大人向け商品、健康系商品、冷菓、海外展開を強化しなければ、長期的な成長には限界があります。長寿ブランドが多いことは強みですが、古い印象にならないよう刷新し続ける必要があります。

第三に、in事業の伸び悩みリスクです。inゼリーは強いブランドですが、2026年3月期の売上高は前年から減少しました。栄養補給市場には競合が多く、プロテイン、エナジードリンク、サプリメント、機能性飲料など、代替商品も多いです。inブランドをどのように再成長させるかが課題です。

第四に、冷菓の天候リスクです。冷菓は気温の影響を受けやすく、冷夏や悪天候で販売が伸びにくくなります。また、冷凍物流や店頭冷凍ケースへの依存もあります。チョコモナカジャンボが強くても、冷菓事業全体は天候と競争の影響を受けます。

第五に、米国事業の投資リスクです。HI-CHEWは成長していますが、米国第2工場の建設には大きな投資が必要です。需要が想定通り伸びなければ、減価償却費や固定費が利益を圧迫する可能性があります。米国市場では競合も強く、販促費や流通開拓費もかかります。

数字で見る森永製菓

森永製菓を見るうえで、まず確認したいのは売上高と営業利益です。2026年3月期の売上高は2,366億円、営業利益は223億円、経常利益は226億円、親会社株主に帰属する当期純利益は177億円でした。売上高は5期連続で過去最高、営業利益は2期連続で過去最高となりました。

営業利益率は約9%台です。食品メーカーとしては一定の収益性を持っていますが、原材料価格や販促費、海外投資の影響を受けるため、今後も維持できるかが重要です。EBITDAは325億円となり、こちらも過去最高でした。

事業別売上を見ると、食料品製造の売上高は2,251億円でした。その内訳では、菓子食品事業が889億円、冷菓事業が535億円、in事業が299億円、通販事業が107億円、事業子会社等が112億円です。国内計は1,944億円でした。菓子食品事業が最大の売上基盤であり、冷菓とinが大きな柱であることが分かります。

2026年3月期は、菓子食品事業と冷菓事業が好調でした。菓子食品事業では、価格改定効果や主力ブランドの強化が収益性改善につながりました。冷菓事業では、チョコモナカジャンボを中心とした強いブランドが売上と利益を支えました。一方で、in事業は売上が減少しており、再成長が課題です。

海外売上高比率や重点領域売上高比率も重要です。森永製菓は、2030年に向けて重点領域の構成比を高める方針です。国内菓子食品だけに依存せず、in、冷菓、通販、米国を伸ばせるかが、成長企業として評価されるかどうかの分かれ目です。

財務面では、2026年3月期の総資産は2,259億円、自己資本比率は62.8%でした。財務基盤は比較的安定しています。一方で、米国第2工場の建設など設備投資が続くため、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、株主還元のバランスを見る必要があります。

今後の注目ポイント

今後の注目ポイントは、まず重点領域の成長です。森永製菓は、in事業、冷菓事業、通販事業、米国事業を重点領域としています。菓子食品事業が安定的にキャッシュを生み、その資金を成長領域へ回す構造がうまく機能するかが重要です。

第二に、in事業の再成長です。inゼリーは強いブランドですが、直近では売上が伸び悩んでいます。エネルギー補給だけでなく、プロテイン、ビタミン、ブドウ糖、体調管理、スポーツ、受験、ビジネスパーソン向けなど、利用シーンを広げられるかが焦点です。

第三に、冷菓事業の継続成長です。チョコモナカジャンボは強い商品ですが、冷菓市場では競合も多く、毎年の気温にも左右されます。パリパリ食感やチョコ技術を活かしながら、新商品や既存商品の品質向上を続けられるかが重要です。

第四に、米国HI-CHEWです。米国市場でHI-CHEWをどこまで大きくできるかは、森永製菓の海外成長の象徴です。第2工場の稼働によって供給能力を高め、販売チャネルを広げられれば、海外売上比率の上昇につながります。一方で、投資回収と利益率には注意が必要です。

第五に、原材料高への対応です。カカオ、砂糖、油脂、包材、物流費の上昇は今後も続く可能性があります。価格改定、商品ミックス改善、製造効率化、ロス削減、調達力強化によって、利益率を守れるかが重要です。

投資対象として

投資対象としての森永製菓は、「安定的な菓子食品事業」と「冷菓・in・通販・米国の成長領域」を併せ持つ会社です。

魅力は、長寿ブランドの多さです。ミルクキャラメル、チョコボール、森永ビスケット、ダース、ハイチュウ、チョコモナカジャンボ、inゼリーなど、消費者に認知されている商品が多いことは大きな強みです。食品メーカーにとって、ブランド認知は価格改定、棚取り、リピート購入に直結します。

また、重点領域が明確な点も評価できます。菓子食品事業を基盤に、冷菓、in、通販、米国を伸ばす方針は分かりやすい。特にチョコモナカジャンボとHI-CHEWは、国内外の成長を考えるうえで重要な商品です。

一方で、注意点もあります。原材料価格が上がれば、菓子・冷菓の利益率は圧迫されます。in事業が伸び悩めば、健康領域への成長期待は弱まります。米国事業は成長余地がある一方、設備投資や販促費、競争リスクがあります。菓子市場の成熟や少子化も長期的な課題です。

株価を見る際には、PERやPBRだけでなく、営業利益率、重点領域売上高比率、菓子食品事業の利益、冷菓事業の成長、in事業の回復、米国事業の売上・利益、原材料費、設備投資、営業キャッシュフローを確認したいところです。売上高・営業利益が過去最高だから安心と見るのではなく、重点領域への転換が進んでいるかを見なければなりません。

就活生にとっては、森永製菓は「楽しいお菓子」と「健康・栄養補給」の両方に関われる会社です。商品開発、マーケティング、品質保証、生産技術、通販、海外事業、研究開発など、仕事の幅は広いです。昔からあるブランドを守るだけでなく、次の成長領域を作る仕事に関心がある人に向いています。

まとめ

森永製菓は、1899年創業の老舗菓子メーカーでありながら、現在は菓子食品、冷菓、inゼリー、通販健康食品、米国HI-CHEWを組み合わせて成長を目指す食品メーカーです。ミルクキャラメル、チョコボール、森永ビスケット、ダース、ハイチュウ、チョコモナカジャンボ、inゼリーなど、長く愛されるブランドを多く持っています。

同社の強みは、長寿ブランド、チョコモナカジャンボを中心とした冷菓、inゼリーによる栄養補給領域、HI-CHEWの米国展開、菓子の楽しさと健康価値を両立しようとする事業ポートフォリオです。菓子食品事業を基盤に、重点領域へ経営資源を振り向ける構造が特徴です。

一方で、リスクもあります。原材料価格、菓子市場の成熟、少子化、in事業の伸び悩み、冷菓の天候依存、米国事業の投資負担です。特に、原材料高の中で価格改定と数量維持を両立できるか、重点領域を本当に伸ばせるかが重要です。

個人投資家にとっては、森永製菓は「安定した菓子ブランドで稼ぎながら、冷菓・健康・海外で成長を狙う会社」です。就活生にとっては、身近なお菓子を作るだけでなく、健康食品や海外ブランドにも関われる会社です。森永製菓の企業研究では、「お菓子の会社」という表面的な理解にとどまらず、「楽しさと健康を組み合わせ、国内外でブランドを育てる食品メーカー」として見ることが大切です。